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高松加奈-38 [化け猫亭-11]

「加奈さん、君の会社の大株主とも相談したよ。」
「はい、父から聞きました、皆さん私の事を心配して下さって、杉浦さん、宜しくお願いします。
私自身が幹部スタッフに甘え過ぎていたと思います、スタッフにも父親役が必要だと感じていたのですが、その役目を幹部が担おうと無理して下っていました。」
「そうか、それは今後、お風呂当番中心に動いて行くよ。
会社の方は、私と妻が動いてみてフォローを考えて行くからな、まずは児童養護施設を卒業する子への支援が、どう進んでいるのか教えてくれないか?」
「はい、学生スタッフが近隣の施設とコンタクトを取った結果から、今年度中に五名程受け入れたいと考えています、家賃と食費を免除する代わり寮内の作業を手伝って貰います。」
「学生なのか?」
「いえ、会社をやめたばかりの子と、職場に馴染めなくてやめたがっている子です。」
「来年度からは?」
「辛くなったら、逃げ場所が有ると施設の職員から伝えて貰っています、辛く無い子も守って行きたいのですが…。」
「分かった、後は君のスタッフから聞くよ、取り敢えず、私は副社長で構わないか?
はい、我が社の株主様なのですから、株主総会までには我が社の組織を落ち着かせたいと思いますが如何でしょうか。」
「はい、社長、我が社と比べたらまだまだ小さい会社です、片手間ですがお任せ下さい、妻も動きます、社長の負担を一気に減らしますよ。」
「有難う御座います、ただ…、女性の集団は恐ろしいと話される方もみえますので、お気を付け下さい。」
「はは、そうだろうな、怖くなったら部下に押し付けるかな。」
「まあ、そんな~、逃がしませんわ。」
「はは、逃げる気はないよ、社会福祉法人ではなく株式会社として何処まで人を養えるのか、挑戦は始まったばかりだろ、その挑戦に私達も今まで以上に係わって行きたいと思っているのだよ。
女神さまの挑戦、社会にインパクトを与えられそうじゃないか。」
「ふふ、大袈裟ですね。」
「そんな事は無い、女神さまとしての君はすでに多くの人に対して大きな影響を与えているんだ。
加奈お嬢さまを支援している企業の商品を購入すれば、僅かながらでも回り回ってお嬢さまの活動を支援する事になる、と経済学部の学生が書けば、それだけでも売り上げに影響が出る、君はもうそういう存在なんだよ。
社会的弱者の為にという姿勢は、すでに広く知れ渡っているからね。
それだけに、我々は君を守って行きたいのさ。
君が女神として笑顔で輝いていなかったら、事業の勢いは一気に落ちると考えてくれな。」
「はい。」
「それで、藤沢くんと相談して社内ネットワークを充実させる、いや、相談してというより、話を持ち掛けたら、ウエブサイト事業部で使ってるシステムを拡大し少し手を加えるだけで済むから簡単だと話してくれた。
それを利用して全スタッフの仕事を把握出来る様にする、だが君が直接指示を出せるのは、藤沢くんと私達夫婦、後は各部の部長だけにして欲しい、私と妻は各部長にアドバイスしながら組織強化を計って行くからね。
後、寮へは極力行かないで欲しい、行くと君は個人と向き合ってしまう、トップは個人と向き合わず、そこのリーダーに任せるべきなんだ。
そうしないと健全な組織は形成されないんだよ。」
「それでは、私は社長として何をすれば良いのでしょう。」
「君の最大の役目は女神として輝く事、その他の役目はもうほとんど終わっているんだ。
君は多くの人を動かして組織を拡大して来た、その組織はもう一人歩きしているのさ。
まあ、気が向いたら新しい事業を立ち上げ、雇用の場を増やすとか考えてくれたら良い。
うちの会社だって私が居なくても動いて行く、私の役目は要所要所を引き締めて行く事ぐらいだよ、後は取引先とゴルフに行ったり飲みに行ったり、君が化け猫亭でアルバイトしながら私達を接待しているのと同じさ。
それが分かっているから、バイトの回数を増やしたのだろ?」
「はい、皆さんは大切なスポンサーですので、四年生が抜ける前で一番スタッフの多い時期ですがマスターが許してくれました。」
「はは、君目当ての客が多いし、数人の客を一人で相手出来る貴重なスタッフなんだから当たり前だよ。」
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