SSブログ

高松加奈-01 [化け猫亭-08]

「おやっ、小夜ちゃん、うちの孫がピアノを弾き始めたが問題無いのか?」
「はい、お上手ですね、あっ、お孫さんは大学で何度かお見かけした事が有ります、お話しした事は有りませんが服のセンスが良いです。」

「高松、一区切りついたのか?」
「ああ、店の事も教えて貰った。」
「小夜ちゃん、次の対局は有るの?」
「いえ、今日の将棋は高松さんで終わりです、深沢さん、私は席を外した方が良ろしいですか?」
「はは、冗談だろ、最近話せて無かったから近況報告をしてくれよ。」
「分かりました、でも、まずは高松さんのお孫さん自慢をお聞きしたいです。」
「加奈ちゃんの事が気になるのかな?」
「勿論です、綺麗でセンスが良くて、多分知的レベルは低くない、下心が有るにせよ車椅子の祖父と行動を共に出来る優しさが有って…、ここのスタッフになる事を考えているのなら大歓迎です。」
「はは、儂が自慢する前に言われてしまったな。」
「ピアノも良いね、小夜ちゃんもだが才能の有る人には多才な人が少なく無い、やはりコツを掴むのが上手なのかな?」
「でも、頭では分かっても、体がついて行かない競技が多いのですよ。」
「万能になる必要はないな、ねえ、小夜ちゃんの目から見て加奈ちゃんのピアノはどうだい?」
「あらっ、音楽は目で見るのでは無く耳で聴くものですよ。」
「はは。」
「ピアノだけに集中していたらプロになれたかも知れません、でも彼女はその道を選ばなかった。
今は店のBGMを、お客様方のじゃまにならない様に奏でていて、注目は集めていますが気遣いの出来る方です、私とは芸風が違いますから比べないで下さいね。」
「芸風?」
「加奈さんは楽譜に忠実ですが、私は楽譜通りに弾けないのです。」
「加奈も家ではかなりいい加減だがな。」
「そうなのですか、では、少し失礼します。」
「ああ…。」
「小夜ちゃんピアノの方へ行っちゃいましたが…。」
「連弾をするのか?」
「みたいですね。」
「深沢は小夜ちゃんのピアノ聴いた事有るのか?」
「いや、店内がざわついているのは誰も小夜ちゃんの演奏を聴いた事が無いからだ、ここで猫踏んじゃったを演奏しかねない人だし…。」
「演奏中の加奈さんに何か声を掛けましたね。」
「あっ!」

「凄いな、プロでは無い様な事を話してたが…。」
「即興で掛け合い…、終わりかな。」

「今日はお爺さまの付き添いか、お爺さまに付き添われてかは存じませんが、演奏して下さったのは高松加奈さんです、もう一度拍手をお願いします。」

「はは、すでにスタンディングオベーションだよな。」

「今、お友達になりましたので皆さんも宜しくお願いします。」
nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 4

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。