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高松加奈-02 [化け猫亭-08]

「加奈ちゃん、演奏前に小夜ちゃんから何を言われたの?」
「遊びましょう、と一言、ふふ、楽しかったわ、小夜ちゃんなのね。」
「ええ、マスターと話してたそうだけどスタッフ希望なの?」
「はい、先輩宜しくお願いします。」
「そうか、鮮烈なデビューを飾ったな。」
「たまに音大の子が演奏に来るが、芸風が違うという事か。」
「彼女達の目的はコンクールの為の場慣れ、私達程自由では無いのですよ。」
「加奈、小夜ちゃんに将棋で負けてな。」
「お爺ちゃんは結構強いのでしょ?」
「いや、井の中の蛙だったよ、加奈と小夜ちゃんは同じ大学の様だが接点はなかったのか?」
「そうね、たまに見かける程度、でも、さりげなくファッションの参考にさせて貰ってたの。」
「美人同士、ライバル心が有ったりしたのか?」
「全然無いわ、外見より中身で勝負、でも、人に良い印象を持って貰う事は大切って、お爺ちゃんの教えでしょ。」
「ふふ、素敵なお爺さまなのね、深沢さん、月一ぐらいで高松さんをお誘いして下さいな。」
「いや、もっと来たい、ちょっとおっくうで外出は控え目だったが、この店なら、なあ、加奈、良いだろ。」
「そうね、お婆ちゃんものんびり出来て良いんじゃない。」
「高松さんは将棋以外にどんなスキルをお持ちなのですか?」
「スキルか…。」
「お爺ちゃんのスキルは経営全般でしょ、中堅企業を長年潰すことなく成長させるのは簡単な事とは思えない、日本の経済がずっと安定してた訳では無いのでしょ。」
「うん、苦しい時も有ったがな、でも世の中変化してるからもうついて行けない…。」
「将棋の時と違って随分弱気に聞こえます、若造にご自身の経験を語り諭すぐらいの方で無いと化け猫亭の会員に推薦出来ないのですが。」
「いや、年寄りは静かに身を引くべきではないかね。」
「深沢さんはそんな事考えてませんよ、少しボケてるぐらいで調度良いのです。」
「お、おい、俺はまだボケてないぞ。」
「そうそう、こんな感じで長生きして下さい。」
「はは、なかなかのお嬢さんだ、私は化け猫亭の会員になれるのかね?」
「約束事を守って頂けるのであれば。」
「勿論だ、店のルールは深沢から聞いている、でなければ、可愛い孫娘と来たりはしない。」
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