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水野鈴江-08 [化け猫亭-07]

「起業を目指す大学生とは頼もしいね。」
「頭の良い人で同学年ですが色々教えて貰ってます、今、あそこで将棋を指していますよ。」
「おっ、ここは将棋が指せるのか。」
「高松、小夜ちゃんっていうのだが、天才レベルなんだよ、ここのスタッフは頭の良い子ばかりなのだがね。
将棋は覚えたてだから、勝つなら今しかないと、おじさん達が相手をしてる、教えてるアマ有段者に言わせると一局指す毎に強くなってるそうだよ。」
「儂も手合わせして欲しいものだな。」
「早指しで良ければ、鈴江ちゃん、どうだろう?」
「聞いて来ます。」
「深沢は対局した事有るのか?」
「ああ、その時は普通に勝てたのだが、この前見てたら角や桂馬の使い方が上手くなってた。
高松の棋力でも油断してたら…、綺麗な子だからといって見とれてると負けるぞ。」

「高松さん、次にどうぞという事です。」
「鈴江ちゃん有難うね、今の対局料は幾らになった?」
「二万円です、ニ十勝五十三敗だそうで。」
「早指しとはいえ、もうそんなに対局していたのか、まあ、始めの頃は小夜ちゃんが簡単に負けていたからな、俺と対局した時に三千円だった事を考えると、弱い奴らが負け過ぎたな。」
「どういうシステムなんだ?」
「賭け将棋はマズイし、店で将棋を指していたら売り上げに影響しかねないという事で、客とマスターが相談して決めたんだ、小夜ちゃんと対局する時は対局料を店に払うと。
そこにゲーム性を加えてな、対局料は無料から始まって小夜ちゃんが一勝する毎に千円アップするシステム、客は負けると他の客から恨まれるから真剣に指す事になる。
勝てると思って挑んだ奴がすでに二十人負かされたと言う訳なんだ。」
「絶対負けられないな。」
「まあ俺としては、対局料が上がれば対局数が減る、小夜ちゃんと会話出来る機会が増えるから問題ないがな。
客同士の対局ルールはまだ検討中という段階で、今後どうなるか、成り行き次第の一面は有る。」
「高松さんはこの近くに、大人がゆっくり将棋を指せるサロンが有ったら利用されますか?」
「鈴江ちゃん、そういう計画が有るの?」
「今は経営的に成り立つ形をリサーチしながら検討という段階です。」
「そうか、柄の悪い奴を入店禁止に出来るのなら資金を出しても良いかな。」
「マナーの問題ですか、私は将棋をされるお客様の多さに驚いています、企業で成功される方は趣味も違うという事なのでしょうか。」
「それは有るだろうな、儂が子どもだった頃の遊びは将棋、学生時代は麻雀、遊びを通して頭のトレーニングをして来たのだよ、今のゲーム事情は分からないが。」

「私に教えて下さる方はこちらですか?」
「ああ、小夜ちゃん、俺の友人で高松だ、よろしくな。」
「よろしくお願いします。」
「では…。」
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