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14-採用 [岩崎雄太-02]

一回目の現地見学会、宿泊は本社となる一軒家。
夜は酒も入り、雄太中心に話が盛り上がる。

「皆さん如何ですか、まだ携帯の使えない不便な所ですが、ここで働けそうですか?」
「はい社長、自分は工務店で働いていましたので建物の補修は任せて下さい。」
「不便かもしれませんが山並みが綺麗で落ち着けます、一次面接では経理をというお話でしたので、頑張りたいと思います。」
「経験はないのですが林業に興味が有ります、機械化された林業を体験したいです。」
「私は何でもやりますよ、建物の解体作業でも林業でも農業でも、村が出来て行く過程を見てみたいですからね。」
「社長、モトクロスやクロスカントリーといったコースを作りませんか、競技人口が多い訳でも有りませんが愛好者が来てくれたら少しは賑やかにならないでしょうか?」
「鈴木さんはモトクロスとかやってみえるのですか?」
「いえ、見て楽しむ側の人間です。」
「入社の意思は?」
「もちろんやる気満々ですよ。」
「では、皆さん入社日を決めて下さい、その日から給料が発生します。
鈴木さんは入社日以降、山を利用したスポーツの現状を調査し、うちがスポンサーとして後押し出来そうな競技を一つ決めて下さい、コースと宿泊施設を作る前提でお願いします。
ここへの引っ越しは調査が有る程度まとまってからお願いします、ここから競技団体とかと交渉するのは効率的では有りませんからね。
田中さんは入社後、建物の改修計画を立てて下さい、改修作業と並行してお願いしますが状況によっては専門業者に委託します、その時は会社側の担当となって下さい。
佐藤さんは経理を担当して頂きますが、副社長としての研修も受けて下さい、しばらくは会社設立準備室の方へ出勤して頂きます。
伊藤さんは林業関係の団体で講習を受けて下さい、林業機械メーカーへも話は通して有りますから、そちらでも講習を受ける事になります。
佐々木さんは建設機械オペレーターの資格を取って下さい、それと並行して温室で花を栽培する事を調べて下さい、利益率の高い花を数種類ピックアップ、そうですね設備に金を掛ければ素人でも失敗しにくい花が見つかると良いのですが。」
「はは、微妙なスタートですね、すぐに引っ越せるのは田中さんだけなのですね。」
「それまでも連絡は取り合いましょうよ。」
「後、皆さんにお願いしておきたいのは、現時点では皆さんがそれぞれの担当部署の長となりますが、今後入社して下さる方のスキルによっては交代という事も有りうると考えて下さい。
我が社は年功序列ではなく、実力の有る人がリーダーとなって引っ張るという形にしたいのです。」
「それは覚悟していると言うか、社長が雑誌のインタビューを受けた記事を読みました、そんな社長の姿勢に賛同して、自分は今ここにいます。」
「私は素人ですから何も言えません。」
「もう一つお願いしておきたいのは、村の将来像を皆さんで描いて頂きたいという事です。
今決まっているのは私の家の場所ぐらいです、他に必要になるのは林業機械や建設機械の保管場所、製材所や木材の保管場所とヘリポートが確定ですが場所は決まっていません。」
「ヘリポートですか?」
「ええ、通常の移動の他、緊急時に役立ちますし、観光飛行も視野に入れています、騒音が気になるかもしれませんが診療所まで遠いですからね、場所が決まったらすぐ着工します、近い将来整備も出来る様にしたいですが、単純にヘリポートだけなら簡単なんですよ。」
「それなら複数作れますか?」
「そうですね、頻繁に発着する観光用は居住地区から離れた所に、緊急用は居住地の近くにというのも有りです。」
「社長、先に言わないで下さいよ、名案を出せると思ったのに。」
「はは、でも社長、今後人口がどの程度増えて行くかによって計画は随分違ったものになると思うのですが。」
「ですね、こればかりは何とも言えません、村が落ち着いたら色々な境遇の方を受け入れて行きたいとは思っていますが…。」
「まずは核をしっかり作って、貧困にあえいでいる人達を受け入れたいですね、その為には暮らしを良くして田舎暮らしのハードルを下げたいです。」
「なるほど、佐藤さんを副社長に指名された理由が分かりました、核を作れるぐらいの人数は集りますよ、みんながんばろうな。」
「もちろんだ。」
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