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111-社会体制 [キング-12]

城の大人達は子ども達の取り組みを観察していた。

「政治の体制も考え始めたのね、共産主義の理想形になるのかな。」
「他に国がなくて豊かだと社会問題も起きにくいわね、独裁者もいないし、過去の共産主義、社会主義なんて独裁政治で本来の意味から外れてたでしょ。」
「私利私欲を考える政治家もここには存在しないからな、ゴールドを国民同士でやりとり出来ないシステムにしたのは正解だと思う。」
「ほとんどが国営だが、国が管理してるというより国民が管理してると感じる、選挙はしていないが民主主義と言って良いと思うな。」
「それでも国が大きくなったら変化するだろうな、何かの弾みで対立し分裂する可能性も有る。」
「そういう概念を子ども達が持たないと良いわね。」
「第一世代が寿命を迎えるぐらいまでは、今の町を広げる事に専念して第二の町を考えない方が良いだろう、土地に余裕は有る。」
「ああ、第一世代は出産に消極的になってきてる、第二世代の出産が増えるのはまだ先の事だ、大丈夫だろう、分裂の可能性は第一世代の方が高いからな。」
「ゲームの勝者はゴールドを沢山手にしたけど、城の子参加の企画で随分消費してるわね。」
「満足してる様だな、ゲームでは子どもだけを対象にした物理や化学の勝負も増えた、知識の有る大人達の力だけでなく若い頭脳の活用も画策し始めた訳だな。」
「頭脳系、運動系それぞれ稼ぎの多い子が出て来てるわ、彼等が城の子達のポジションに入ってくれれば良い形になると思うわね。」
「農業への影響は思ったほどなくて良かったわ、農業に従事する人が減る様なら賃上げとか聞いてたけど。」
「地道に働いてくれる人が少なくないからな、だいたい過去の歴史を考えても多くの兵士を抱えていて国が成り立っていた、飢えてる人のいた国もあったろうが、ここは豊かだ、これなら工業従事者が増えても問題なさそうだよ。」
「昔、暮らしてた社会も豊かだったけど、ずいぶん社会問題があったわね、ここがあんなバランスの悪い社会にならなければ良いけど、私利私欲の塊が多すぎたわ、ここでも不正は起こるのかしら。」
「全国民の所有するゴールドの額を全国民が知っている、不正は起こりにくくないかな、労働実績報告も子ども達は自己申請だけど、大人達は各部署のリーダーが管理してるし。」
「人口が増えたらどうなんだろうな?」
「基本、不正しない大人に育つよう教育しているわ、それでもこの先は起こり得る事ね。」
「小さなインチキはともかく、大きな不正は起きないだろ、このシステムなら。」
「城の子達はずっとこの星を見守って行くのかしら。」
「新たに生物の住める星を作ったら、そこへ導いて行く訳だろ、見捨てる訳にはいかないさ。」
「異なる二つの種族の関係がどうなって行くかも楽しみな様な…。」
「絶対的に優位な種族によって守られてる種族という立場を、嫌だと感じる者が現れるのだろうか。」
「そんな人物が力を持ったら自立が早くなるだろうな。」
「今の所見当たらないわね。」
「まあ、あれだけ城の子と仲良しでは有り得ないだろう。」
「城の子と国民との結婚ってどうかしら?」
「生まれて来る子が微妙に可哀そうだが、今の所城の子は国民を恋愛対象とは感じてない気がする。」
「能力に差が有り過ぎるからな。」
「城の子同士の会話が共通語になると早過ぎて全く分からないもんな、国民の子ども達のは普通に理解出来るのに。」
「大人達も随分落ち着いたな、トラブルは滅多に起きないし起きても些細な事だ、このまま警察の要らない社会なのか、子どもが成長すると必要になるのか。」
「警察はともかく軍隊の無い世界で有り続けて欲しいわね。」

一同頷く。
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