SSブログ

51-職業体験 [キング-06]

子ども達の学習プログラムに職業体験を入れたのには意味が有る。

「子ども達のささやかなお手伝いに関して国民からの反響はどうかな?」
「私が耳にした範囲では概ね好意的に受け止められているわ、皆さんは私達の子どもが将来リーダーになるだろうと考えている、世襲じゃないと話しているけど年齢的な事も有るし、彼等の子ども達がお兄ちゃんお姉ちゃんと慕ってるのを見れば自然な流れでしょう。」
「そんなリーダー候補達が汚れる仕事も体験してるのだからね、皆さん優しく教えて下さってるそうよ、子ども達も喜んでたわ。」
「大人全員と親しくさせるという当初の目的は達成できそうだな。」
「ああ、職業選択の自由と社会維持活動のバランスの問題も、成長に合わせて短時間の労働から責任を持たせて行けば大丈夫な気がしてる、大人の導き方次第だろうが。」
「複数の仕事を掛け持ちという制度がプラスに作用すると思うわ、きつめの作業は短時間の当番制、人数が増えれば作業量も増えるけど、それ以上に短時間になったり回数が減ったり、職業というより国民の義務という事で子ども達も納得してくれるでしょう。」
「人の嫌がる仕事、特に動物の解体とかが…、次世代にとって当たり前の作業になってくれれば良いのだが。」
「我が国には未経験者しかいなかったからな、慣れるのに時間が掛かった、というより未だに慣れないよ、逆に子どもの頃からきちんと見せて置く事で、自分達の食が他の生物の犠牲の上に成り立っている事を考える機会になると思う。」
「子ども達には時間は有る、大人になるまでにこの世界のすべての仕事を体験して貰う事はきっとプラスになるわ、ここで生きて行くために必要な能力を身に付けさせておけば安心よね。」
「すでに食糧生産能力は将来を見越しても充分過ぎるレベルに達しているわ、子ども達の為に住宅を建てたりしてるから暇すぎる人はいないけど、子ども達が成長する頃には多くの研究職を持てそうね。」
「昔は、その人員が軍人に振り分けられていたのかな、研究職だけでなく芸術関係を目指す人が増えても大丈夫よね、何にしても軍隊を必要としない社会で有り続けて欲しいわね。」
「今の所、警察や消防がないけど必要にならないかしら。」
「警察はともかく建物は木造だから消防は考えるべきじゃないかな。」
「そうだな、専門家を作らずに皆で訓練だな、非常時に統率の取れた動きが出来るようなシステムを考えてみるよ。」

仕事の体制は話し合いで決めた。
現時点で生産体制を維持する為に最低限の労働時間は一人当たり四時間と計算されている。
マリア達のテクノロジーと作業の効率化が進んだ結果だ。
だが、国民達は概ね八時間働いている。
お陰で、城下町が形成されつつ有り居酒屋やカフェなどが店開きをした。
貨幣の無い共産主義国家、だが今の所仕事をさぼろうと考えるのは二丁目の住人だけだった。
コメント(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。