SSブログ

44-二丁目の住人 [キング-05]

スコットランドの子ども達と和の国の子ども達は仲良く遊んでいる。
特に城の子ども達は交流の機会が多く仲良くなっていた。

「子ども同士が仲良くしててくれると安心よね。」
「だね、問題は言語か…。」
「子ども同士の会話は何というか、単語も文法も日本語と英語が入り混じってるよな。」
「キング、言語教育はほんとにしなくて良いのか?」
「子ども達の柔軟さを明日の世界に生かせないかと思ってるのだが。」
「言葉の乱れという次元じゃない…、新たな言語の創造か…。」
「どっちの言語で会話しろとは強制出来ないからな。」
「八重は単語を教えているのか?」
「ええ、でも少しだけ、子ども同士で結構解決してるのよ、子どもだから語彙が多い訳でもないでしょ、相手の話す言葉が不思議で面白くて興味を持ったのね、子ども同士の話はごちゃまぜでも、私と話す時はきちんと日本語で話してくれてるし、向こうの大人と話す時は英語で話そうと試みているのよ。」
「それは心強いな、で、子ども同士の時はどんな基準で言葉を選んでるんだ?」
「自分に馴染みのなかった物は相手の言語、他は語感で選んでいるみたいね。」
「という事は子どもによって使う言葉が違うという事か、これで統一された言語に成長して行くのか?」
「ポイントはこれから出会う言語だろうな、出会った時の力関係も影響するだろうし。」
「現状では英語と日本語が有利になりそうだな、まあ彼等の言語に関して我々が口出しする必要はないのかもしれない。」
「少し早く生まれた分、我々の長男長女達が他の子達をリードしてる様に見えるが。」
「ええ、国に関係なく年下の子の面倒を見てくれて助かってるわ。」
「躾をきちんとして来た成果だね、八重のアドバイスが的確だったおかげだよ、有難う。」
「簡単なお手伝いも出来る様になってきた、二丁目の大人達より役に立ってるよな。」
「その二丁目の連中、最近はどう?」
「十時過ぎに来て簡単な作業、昼食を食べたらしばらくくつろいで、食材を受け取って帰ってる。」
「少し太って来たと思わない?」
「食べる事しか楽しみがないのかな。」
「記憶に残ってる童話とかの文字起こしを提案したけどだめだったわ。」
「スポーツやゲームもやる気なし、布教活動は無駄だと気付いたのかやめてくれた。」
「まあ、二人が罰を受けてから静かになって問題は減ったな、しばらくは静観するしかないみたいだね。」
「今後彼等がどんな問題行動を起こすのか…、どう思う?」
「不満が爆発して殺人というのが最悪のシナリオ、後は…、他の国民に害を与えさえしなければ良いのだが。」
「他の国民も理解をしてくれている、彼等の様子がおかしかったらすぐ連絡して貰う様頼んであるし、子ども達には近付けない体制にしてある。
排除したいというのが私も含めた国民の本音、でも人権の尊重を誰も忘れてはいない。」
「子ども達はどうだ?」
「能力的にすごく劣っているという事はないわね、お泊り保育も問題なかった。
幸いな事に二丁目の親達は子どもの事をあまり考えてないから、変に汚染されてない、自分の親より保育担当者に懐いているぐらいよ。」
「将来的に二丁目出身という事がハンディにならない様にしないとね。」
「気を付けるわ。」

二丁目の大人達は現時点で犯罪者という事ではない、ただ、その言動は時に論理性を欠き感情的になり易い。
彼等の役目は終わったのか、それとも…。
コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。