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45-レストラン [キング-05]

スコットランドとの交流が始まってから半年が過ぎた頃、マリアから告知が有った。

「順調に行けば来月、新たな国との交流が始まるそうだ。」
「いよいよか、具体的には?」
「確定ではないとの事でまだ詳しくは分からない、ただ、その後立て続けに条件をクリアする国が現れる可能性が高いと言われた。」
「スコットランド側は?」
「先ほど確認したところ同様の告知を受けたそうだ、協力して国交樹立プログラムを策定する必要が有るという事で一致している。」
「記憶が蘇るスイッチが入ってから、しばらくは国内の安定に力を注がざるを得なくなるというプロセスが同じなら、本格的に交流するまでにじっくり準備出来ると思うが。」
「そうね、でも立て続けという事だと落ち着かないかも。」
「国民とも相談して我々が外交に多くの時間をさける環境を整えておきたいと思うが。」
「二丁目の問題も落ち着いてきたから大丈夫だと思う、教育や外交に力を注いで欲しいと話してくれる人もいるよ。」
「スコットランドからは麗子の予約制レストラン、手伝うから席を増やして欲しいとの要望が有った、今後交流する国の人も招かなくてはいけないし、我が国の民からは子どもの誕生日以外でもレストランの雰囲気を味わいたいとの声が届いている。」
「それには応えて行きたいね。」
「そこで、国内のゲートに関して時間ルールを変更しようと思う。」
「キングの自由に出来るのはどこまでなの?」
「零時から六時の間以外はフリーに出来る、時間制限の理由は分からないが。」
「どんな風に変更?」
「音楽村が完全にフリーなのと二丁目の制限は今まで通り、他は夜十一時までの滞在を認めようと思う。」
「喜んで貰えると思うが、何か交換条件を出すのか?」
「当番制でレストラン運営の手伝いをお願いしたいと考えている。」
「そうか、各国の特権階級は夜におもてなしという事なのね。」
「国民も夜のレストランを利用出来る体制にしたい、昼はスコットランドに手伝って貰って外国の一般人も受け入れて行く。」
「私達の会議はどうするの、時間に余裕がなくなりそうだけど。」
「基本は今まで通りダイニングルームで八人揃って開く、レストランは麗子がいなくても充分なものが出せるから問題ない、麗子の料理教室は大きな成果を上げたからな。」
「問題は国際的な会議かな、他の客に聞かれたくない話も出て来るだろう。」
「ケースバイケースだな、部屋は有るのだからレストランにこだわる必要はないだろ。」
「リーダー同士で一対一という事も有るだろうな。」
「基本この八人で臨むべきだと思っている、物事は色々な視点で捉えて行くべきだと思うし、後から話の内容を伝えるのは二度手間だ。」
「あくまでも独裁政治をしないつもりなんだな。」
「当たり前だ。」

国民達は島に滞在できる時間延長を素直に喜んでくれた、そのおかげでレストランの新体制は新たな客人を招くまでに余裕を持って完成した。
二丁目以外の国民はほとんどの時間を島で過ごし、多くは寝る為だけに自分のコロニーへ帰る様になった。
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