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29-ファーストコンタクト [キング-03]

マリアからのメッセージを国民に伝えた後、データベースにアクセスする為に使って来た端末に新たな機能が備わっている事を確認した。
子ども達の世話を音楽村の住人に頼んで、城の八人を端末の有る部屋に集める。

「これが相手の国の情報だ。」
「大人は五十六人か、コロニーが一つ少ないのかな…、あっ八名死亡か。」
「ここと同じ様な事が起こったのかしらね。」
「飼育している動物の数、畑の面積など、総じてここより小規模だな。」
「うちに無い物は弓矢…、武器か。」
「俺達、農耕民族に対して狩猟民族なのかな、キング、殺すな、は、彼等に対しても当てはまるよな。」
「ああ、それはマリアに確認した、これを見るとキツネとか…、ハンティングを楽しんでるって事じゃないのか。」
「その発想は無かったな、愛玩動物は出して貰ったが。」
「子どもは二十名か…、子どもが二十人を越したら他国との交流開始とかがルールなのかな。」
「他の国との交流が始まるまで分からないわね。」
「ここのコールって表示は今まで無かった。」
「じゃあ、ご挨拶しますか、キング。」
「皆、良いか?」

その、返事を耳にする前に呼び出し音が鳴り、コロニー26489より呼び出し、と表示された。
応答する、という文字が出たので選択すると、画面には金髪の男性が現れた。
上部には自動翻訳中と表示されている。

『初めまして、私は三八五、こちらのコロニーのリーダーです。』
「初めまして、当方のリーダーでキングと名乗っています。」
『データによると、ずいぶん大きな国なんですね。』
「ええ、管理者に色々お願いした結果です。」
『罰の回数が少なかった成果なんですね、そうと分かっていたら反抗的な人物を早くから押さえつけるべきでした。』
「成程、やはり罰を何度も受けた者は早死にを?」
『はい、自分の老化の原因に気付けなかった可哀そうな人達です。』
「やむをえないですね。」
『はい、ところで、あなた方の国を見せて頂く事は可能でしょうか?』
部屋にいた者達は一様に頷いた。
「大丈夫です、ゲートの設置を確定させます、今回の通過は八名に設定させて頂きますがよろしいですか。」
『はい、配慮有難う御座います。』
「では一時間後という事でどうでしょう。」
『はい。』

ファーストコンタクトは何の問題もなく済んだが。

「そうか俺達は日本人、彼らは…。」
「欧米人との括りでしか分からないないわね。」
「少なくとも敵意は感じなかったが、違う人種と出会って自分達の事を思い出すというのも少し複雑な気分だな。」
「まあ、歓迎の準備を急いでするか。」
「そうね、全国民は城の前に集合って事かしら。」
「急に変な記憶が蘇って喧嘩になる、なんて事がなければ良いけど。」
「しばらくはゲートの前で対話という事にしよう、もし雰囲気が悪くなる様なら、早目に帰って頂くという事でどうだ。」
「ああ、そんな事態になりそうだったらキングは下がっていてくれな、俺が納めるから。」
「有難う、お任せする。」

これから蘇って来る記憶の内容が分からない以上、私達は慎重にならざるを得ない。
かといって、彼等との交流は今後を考えた時、避けては通れない道だ。
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