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社長-16 [安藤優-06]

社内で優の話が出ない日はない。

「おい、昨日、少年社長が研究開発部を訪問された話、聞いたか?」
「いや。」
「開発中の製品で苦労してた所を、少年社長があっさりクリアして商品化の目途が立ったそうだぞ。」
「う、嘘だろ~。」
「何でも桜根関連に応用の利く技術が有ったらしいが、それでも研究開発部の連中は興奮してた、普通なら知っていても結びつける事が出来ないってさ。」
「それが本当なら、今まで誇張されてると思ってた少年社長の業績は本当だったという事か。」
「だな、ちなみに人事も少年社長の提案で大きな移動が決まりそうだとさ。」
「誰が動くんだ?」
「例の常務二人、我が社の癌さ。」
「どこへ?」
「株式会社つぼみと業務提携の話が進んでいるのは知ってるか?」
「まあ、聞いてはいるけど、だいぶ先の話だろ?」
「とんでもない、来週ぐらいには契約書を取り交わすらしいぞ。」
「は~、早過ぎだろ。」
「で、業務提携は研究開発と工場なんだ、それぞれを常務が一人ずつ担当する事になりそうで、はりきってるってさ。」
「うわ~、現場の連中かわいそ~、嫌がってないのか?」
「それが、それ程でもなくてな、今回の改革で問題を感じたら、つぼみの担当者にすぐ連絡を入れる、相手がたとえ重役であっても遠慮する事なく、となったろ。」
「そうか、常務が何かやらかしたらすぐ連絡か。」
「さらに、工場の連中が言うには今回の業務提携、完全に先方主導になるらしい。」
「どういう事だ?」
「社員のレベルが数段違うと感じてるんだってさ、もう色々教えて頂くという感じなんじゃないのか。」
「そうか、先方は桜根グループの中でも特に優秀な人の集まりだって誰か言ってたな。」
「という事は担当重役が活躍出来ると思えないだろ。」
「あっ、そうか、本人達は自分が優秀だと勘違いしてるからな、自分の力じゃなく親の力とかで常務になれた事が分かってないよな。」
「そこも少年社長は狙ってたのかな。」
「と、思うぞ、先週見たビデオでは役員も含めての降格人事も有ります、と明言しておられたじゃないか。」
「本気で大掃除するおつもりなんだ。」
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