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社長-06 [安藤優-05]

優が社長としてまず着手したのは社内のルール作りだった。
仕事自体は社長特務室で行って来た事を引き継ぐ形だから、まだ大きな変化はない。

「宇野さん、社長と呼ばれるのは対外的な場だけにしたいけどどうです?」
「社長は馴染まないですか?」
「室長という名称は桜根で決められた事だから受け入れるしかなかったけど、このオフィスはもう少し砕けた感じにしたいと思うんだ。」
「そうすると私も、優と呼ばなくてはいけないという事ですか?」
「違った呼び方でも良いけど。」
「それか、川北君の様にドイツ語…、は無理だから英語ですか?」
「う~ん、宇野さんに英語で説明するのは若干不安が…。」
「ですね、じゃあ…、ボスってお呼びしても良いですか?」
「社長よりは良いかな…。」

と、いった流れから優の社内での呼び名は各自バラバラになった、皆が自分の気に入った呼び方をし始めたからだ。
優と呼び捨てに出来たのは、中田副社長ぐらいで。

「若は今日何時出社だっけ?」
「二時頃の予定よ、中学で体育と家庭科の後大学の研究室に寄ってからだから若干遅れるかもね、学生達は私の王子さまをなかなか離してくれないそうなの。」

「なあ、大将からの指示でまとめてた資料どうなってる?」
「出来てますよ、親方が出社されたら見て頂くつもりだけど。」
「その前に少し見せて貰えないか、ちょっと参考にしたいんだ。」
「どうぞ、じゃあそちらでも閲覧出来る様にしますね。」
「有難う、頼むな。」

「宇野、これは優と相談しないといかんな。」
「ですねボスが出社されたらすぐにでも。」

遊び心というか表現は違っても話は通る、こんな社員達の遊びは社内の雰囲気を和らげる事に繋がる。
優に話し掛ける時は英語で話し掛ける者も増えたが、どんな呼び方をしようと、そこには尊敬の念が込められていた。
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