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小学生の頃-08 [安藤優-02]

オフィスでも優の質問は続く。
「この町に住む人は会社関係の人とその家族、他は警察官とかの公務員と聞いてますが実際はどうですか?」
「まあ大体そうなんだけど、公務員は給料が安くてね、しかもこんな辺鄙な所、だから社員の家族がボランティア的に公務員をしてくれてるという感じになってるよ、うちで給料を負担する訳にもいかないから微妙な所なんだ。」
「でも、そうして公務員になってくださる方がみえるという事は、佐々木総理や父達の考えがここでも浸透しつつ有るという事ですね?」
「そうだな、社員達の意識も少しずつ変わって来てる…、うん、変わって来てると思う、君に言われるまで意識してなかったけど、ここを立ち上げた頃は…、皆、日本人がここで何を始めるんだって思ってたかもしれない、でも今は将来の姿を共に描ける様になってきたんだ。」
「収支はどうです?」
「そうですね、初期投資分を少しずつ返せる様になって来た所です、ただ社長から利益はこの地へ極力還元する様指示も受けていますので、より効果的な形でのこの町の拡張を考えています。」
「ここは日本で作った製品の受け入れ窓口でも有り、この国から日本への輸出の窓口でも有る訳ですがそのバランスは取れてますか?」
「まだ輸入超過です、ここから日本へ向けての物は他社が結構取り扱っていまして、うちは人件費を抑えない分若干競争力が弱めです。」
「そうですか、他社と差別化を図れる付加価値は難しいですか?」
「難しいですね。」
「具体的な商品リストを頂けませんか、一度検討してみたいと思いますので。」
「分かりました、後ほど届けさせて頂きます。」
小学生と話していた筈の柏木は知らぬ間に上司と話している気分になっていたという。
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