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小学生の頃-09 [安藤優-02]

夕食は社員達と共に、日本人社員が話し掛ける。
「優くんここはすごいでしょう、お金も沢山掛かってるからね。」
「でも金銭面は規模の割には、大きく見れば、実質あまり掛かっていないのですよ、ほとんど日本の工場で作って船で運んで来ましたから、掛かった費用の多くはうちの別会社の売り上げになってます、持ち株会社桜根としては、ここに投資している資金の多くが自分の会社の売り上げを押し上げているという事なんです。
土地は安かったですし、作業員の方の人件費もスタートの給料をこの国の平均程度に抑えましたから、もちろん能力に応じて昇給します、それでもまだ安いので、充分軌道に乗ったらもっと昇給する予定も有ります、この国の経済状態も考慮しながらだそうですが。」
「よく御存じですね。」
「はい、ずっと父に教えられながらデータを見て来ましたから。」
「中島、お前は来たばかりでよく分かってないから、もう少し説明して頂いた方が良いかもしれんぞ。」
「そ、そうだな、え~っと安藤さん色々教えて下さい、自分まだ良く分かってないみたいです。」
「優と気軽に呼んで下さいね、ここの特徴はこの町全部が一つの会社みたいだという事です。
病院もお店も学校も、もう直ぐ完成する映画館もすべてうちの経営下に有ります、この意味が分かりますか。」
「何でも揃っていてそれなりに便利ですが。」
「経済的側面から考えて見て下さい、例えばお店です、基本的には社員の為の施設ですが扱っている商品はほとんどうちの関連企業の製品です、簡単に言えば社員に支払った給料の何%かは会社の売り上げとして返ってくる訳です。
農場で採れた物もお店に並びますしその加工品もです。
目標は日本から船で運んでくる物とここでの産物だけでこの総合施設で必要な物の七十%以上を維持しつつ、ここで出来た商品を、この国で売ったり、輸出する事です。
それも、先ほど柏木社長にお伺いしたら目途が立ってきたそうです。」
「あっそうか、自分は工場関係なんで農場とかまで気にしてませんでした。」
「この町の特徴としては商店同士の競争が無いという事が有ります、ですから価格は適正価格という事で社員の意見を参考に店長が最終決定をしています。」
「う~ん、社会主義的なのかな…。」
「父は会社主義だと話していますが、ちょっと変わった社会の仕組みです。」
「優くんはそんな難しい事までお父さんから教えて貰ってるのですか?」
「はい、少し難しい話も有るのですが、父は教えるのが上手いんです。」
「いや、それだけでなく、君の能力が高いんだと思うな。」
「有難うございます。」
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