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小学生の頃-05 [安藤優-02]

出張の間、優が退屈する事はない、常に何かをしていたからだ。
それは自分で考えた一人遊びゲームだったり、写真撮影だったり、読書だったり、そして特徴的な事としては観察となる。
観察と言っても色々だ、列車の車窓から見える風景から、土地土地の違いを考えながら見ていて色々な発見をする事も有る、道端の草花を観察している事も有れば、町の様子を見比べる事も有った。
父の仕事関連で人と会えば相手の人を黙って観察していた。
「ねえ、お父さんさっきの人嘘をついてなかった?」
「ああ、気付いたか、分かり易い人だったな。」
「それでも気付かない振りをしていたの?」
「うん、人はね自分の心を読まれる事を好まないんだ。」
「う~ん…、そうか…、でも僕は、お父さんが何時も僕が何を考えてるか分かってくれてるから安心してるかも。」
「はは、大きくなったら見抜かれ無い様にした方が良いぞ。」
「隠し事はしたくないな。」
「おっ、なま言ってんな。」
「へへ。」
「さっきの人の事は今調べて貰ってるから安心してな、でも、優も大抵の人が何を考えてるか分かるだろ。」
「まあね。」
「それでも、この事は内緒にしておいた方が良いんだ。」
「どうして?」
「お父さんも失敗した事が有ってな。」
「お父さんでも失敗する事有るんだ。」
「そりゃ、人間だからな、失敗して学ぶ事も有るんだぞ。」
「ふ~ん。」
「学生の頃、ちょっと油断をして相手が何を考えているか話してしまった事が有るんだ。」
「それで?」
「怖がられる様になってしまったよ、あまりにも当て過ぎてしまって気味悪がられたんだ、優も気を付けた方が良いぞ。」
「そうなんだ、怖がられたくないから気を付けるよ。」
「うまくやれよ。」
「うん。」
こんな会話が有ったおかげか、優は怖がられる事なく成長した、尤も彼の能力の高さは多くの人を恐れさせる事になったが。
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