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小学生の頃-04 [安藤優-02]

四年生の頃から学校を休んで父親の出張に同行する様になる。
大好きな父との旅行であり、九州や北海道などへは飛行機を利用する、優にとっては楽しい事だ。
こんな時は必ず色々な地図と中学地理の教科書を持参する。
飛行機から見下ろしては、地図と見比べる。
当たり前の様に県名を覚え教科書の情報を確認したりする。
まさに生きた地理の学習となった。
優を連れての出張は関連企業の視察が多かった、それはもっと小さい頃から優が近場の工場で経験してきた事と同じだ、だが、この頃になると視察先の優に対する対応が随分変わっていた。
工業大学での実績を伝え聞いている者達は、優から何か良い提案を得ようとしたのだ。
そして彼は立派に応えた。
時には別工場での事例を話したり、大学の研究者を紹介する事も有った、すでに父親とは違う人脈も持っていた訳だ。
父の仕事関係で大人と話す時は敬語を使う、始めは戸惑いも有ったが一つの言語と認識していたそうだ。
だが回りも言葉に気を遣う、社長の息子であるだけでなく、時に助言を受けるからだ。
そんな時は彼から「自分はまだ子どもですから気を使わないで下さい。」と声を掛けるのだが、逆効果になる事も多い、彼にとっては悩ましい事だった。
視察の合間にはその地の名所旧跡を訪ねる。
この時は必ずそこの由来などの書かれた立て札を読み、時にはメモを残し後で調べる事もあった。
前に訊ねた所に有った名前を目にするとワクワクして二つの場所の関連なども調べたり考えたりしていた。
こうして戦国大名他、昔活躍した人達に親しんだ。
始めの頃はどこへ行くのも父と一緒だったが慣れるにつれて秘書と過ごす事も。
こういった時の秘書は多趣味な人物が選ばれ、優の世界をさらに広げる事に貢献してくれた。
写真の撮り方も秘書に教えて貰う、お小遣いで買った一眼レフは旅の友となり、出張旅行の記録を作る事が一つの楽しみとなる。
これは徐々に内容を充実させ、後に学校の補助教材として使われる事となった。
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