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オーデション [おにいとぽてち 2015 3-4月]

「ぽてち、オーデションやるぞ。」
「いきなりどうしたんだい、おにい?」
「ちょいと役者さんを集めてだな。」
「芸能事務所でもやるの?」
「まあそんなとこだ、え~と事務所の名前は…、う~んと…、う~ん…、だめだ思いつかない…。
こんな時は何時もの奴だな…。」
「何時ものって…?」
「パクッてと…、そうだスターダストって大手女優事務所があるから…、星屑か…、そのまんまじゃあ、ひねりがない…、そうだ、どうせならでっかく、スペースダスト…、宇宙塵、迷惑そうなところがいいと思わないか?」
「そ、そんな三分ぐらいででっちあげた名前でいいの…?」
「もちろんだ。」

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『スペースダストプロモーションでは様々な役者さんを募集しております。
オーデションは随時行っておりますのお気軽にご応募下さい。』

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「おにい、これで募集なの。」
「何か問題でもあるか?」
「誰も来やしないよ。」
「そんなことはないだろう。」
「で、もし来て下さる方がいて採用となったら何をしてもらうの?」
「もちろん、このブログで働いていただく。」
「ふ~ん、じゃあぼくは暇になって、おにいにこき使われることもなくなるんだね。」
「ま、まさか! ぽてちには掃除という重要な仕事があるじゃないか。」
「え~!」

『ピンぽ~ん。』

「あっ、お客さんだ。」

「広告を見たのですが、役者を募集ということだそうで。」
「はい、どうぞ、私スペースダストプロモーション代表のおにいと申します、さ、どうぞお入りください。」

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「どうぞおかけ下さい。」
「はい、失礼します。」
「まずはお名前と志望の動機をお聞かせ願いますか。」
「佐藤二郎と申します。
24才でバイトをしながら演技の勉強をしています。
たまに舞台もさせていただいているのですが、回数も少なくてなかなか場数が踏めないのです。
年齢的に微妙なこともありますし。
今は少しでもチャンスを見つけようと、色々なオーデションを受けさせていただこうかと思っています。」
「分かりました、では自己アピールをどうぞ。」
「はい、私は…。」


「…、佐藤さん長いお時間有難うございました。」
「いえ、こちらこそ。」
「それでは近い内に連絡させていただきますので宜しくお願いします。」
「はい、お願いします、失礼します。」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「ねえ、おにい、何か適当なこともっともらしく話してたけど…。」
「いや、適当じゃないぞ、私はいたって真面目だ。」
「で、佐藤さんはオーデション合格ってことなの?」
「たぶんな。」
「たぶん…、ね…。」
「ただ、佐藤二郎…、ちょっと平凡だと思わないか?」
「うん。」
「まあ、芸名付けたり、役名が有ったりするから問題ないかな…。」

『ピンぽ~ん。』

「おっ、またお客さんだ。」

「あのね、広告見たの…。」
「は、はい、どうぞ、私スペースダストプロモーション代表のおにいと申します、さ、どうぞお入りください。」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「どうぞおかけ下さい。」
  平静を装ってはいるが、いささかの動揺を隠しきれないおにい。
「は~い。」
  と返事しながらも、おにいの用意した椅子では高すぎて座れそうにない…。
  が…、客…は…、ふわっと舞い上がったかと思うとテーブルの上にちょこんと乗っかって胡坐を掻いた。
「ま、まずはお名前と志望の動機をお聞かせ願いますか。」
「は~い、お名前はね、ピッケ ピカリクス ピッコローネ ピットネット 13世よ。
最近ちょっとつまんなくてね。
こっちへきたらね、ちょっとは面白いことがあるんじゃないかって思ったの。
でも…、いまいちでね。
あんまし気付いてもらえないし…、って思ってたら…、そこの変なかめが何か変わった波長を出してるのに気づいたの。」
  ぽてちの方を振り向くおにい、意外という表情となぜか納得、という複雑な表情をしている。
「あっ、こいつですか、この変なかめは、ぽてちっていいます。
えっと、ピッカリケ? ピコレット?…、え~何とかさん…ごめんなさいお名前をもう一度…。」
「あらっ? あたしの高貴なお名前が…、しかたないな~、じゃ、ピッケで許してあげるわ。」
「助かった~。」
  おもむろにハンカチを取り出し汗を拭うおにい。
「みんなちっとも、あたしの名前を覚えてくれないの…。」
「で、でしょうね…。
「ぽてちもご挨拶したらどうだ…、あっ、ぽてちの奴…、ごめんねピッケ、ぽてちは変なかめと言われるとすねちゃうんだ。」
  ぽてちは、すっかり甲羅の中に頭も足もひっこめていた。
「ふふ、変なかめ。」
「ねえピッケ。」
「なあに?」
「まずは…、そうだな、ピッケのこと、色々話してくれないかな。」
「いいわよ。」
「生まれた家のこととか、好きなこととかを私にではなく、お客さんに向かって語り掛けるようにできる?」
「やってみるわ。」
  話し始めるピッケ。
  不安と期待の入り混じった様な表情でそれを見つめるおにい。
  甲羅の中に頭も足もひっこめたままのぽてち。
  いったい、お話しはどんな展開になるのか。
  佐藤二郎に次の出番は有るのか。
  つづく…、のか?
  

プレゼンテーションスクエア
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