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お江戸JAZZ (下) [短編集-6]

俺たちが店に集まるのは夕方の四時頃。
開店前に打ち合わせとか、練習とか。

いつもは早い流山が遅れてきた、そして…。

「おい、俺たちやっちまったぞ。」
「何をだ?」
「これを見ろ。」
「音楽史か?」
「江戸もの?」
「ああ、江戸中期に突然始まった音楽様式とある、未だにその起源は謎だが、JAZZとの類似性は否定できないとあって。」
「えっ? どんな曲?」
「さっき調べてきたんだけどな。
題こそ全くの別ものなんだけど、日本の古典として、俺たちが向こうで演奏してきた曲が…、上を向いて歩こう、宇宙戦艦ヤマトとか。」
「あっ、そう言えば昨日…、戻った後、客からのリクエストがよく分からなかったな。」
「ああ、曲名では分からなくて、少し歌ってもらってとか…。」
「俺たち、昨夜は日本の古典を演奏してたってことか?」
「おいおい、俺たちの演奏を一回聴いただけで残せる人物が、向こうの観客の中にいたってことか?」
「だろうな、それはそれですごいことだぞ。」
「でも、帰ってきたウルトラマンは、そのままだったな。」
「役人が来たからな、逃げて聴いてなかったのかも。」
「有りうるな。」

「お、おい、俺たち日本の音楽史を変えたってことか。」
「文字通りな…。」
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