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雪の日に-9 [権じいの村-4]

「詩織、ずっと雪を見てるのね。」
「あ、うん、私さ、鹿児島の出身だから…、雪なんてね…。」
「あら、ずいぶん遠いのね。」
「親の反対押し切って…、無理もさせちゃった…。」
「そっか。」
「でさ、うちのじいちゃんのとこも過疎の村なんだ、ここと一緒でさ、若者なんていやしない。」
「はは、慶次さんの講義を聞いて色々考えてたのね。」
「まぁね、雪を見てると色々なことが浮かぶし…。」
「そうよね…。」
「最初、このプロジェクトの話を聞いた時は正直、半信半疑だったなぁ~。
じいちゃん達の住む村が思い浮かんでさ…。」
「ふ~ん。」
「今でも、少し…、でもさ、プロジェクトの次のステップ、その次のステップって進んでいったら…。」
「うん。」
「ほんとはね、来年、卒業したら東京へ行きたいと思っていたの。」
「そうなんだ、やっぱ東京にはあこがれる?」
「うん、でもね…、慶次さん、プロジェクトに関係してる人が千人を越してるかも、なんて言いながら、まだ小さな始まりなんだよって…。」
「確かに次のステップを考えたらそういうことになるんでしょうね…。」
「だよね…、私ね、ここでの今回の調査が終わったら、鹿児島のじいちゃんのとこへ行ってみようかなって考えてたの。」
「故郷が恋しくなったの…、あっ、だったら詩織のおじいちゃんたちに聞いて欲しいことがあるんだけど。」
「はは、麻衣は真面目だな、比較研究ってこと?」
「へへ、そんなとこ、頼めるかな。」
「ふふ、いいわよ。」
「サンキュ~、じゃ早速、調査項目整理しなきゃ。
詩織も体冷やさないようにね。」
「はいはい。」

「ふ~、麻衣は結構せっかちなのね…、あ~、就職どうしようかな…。」




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