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ハーモニー-15 [Lento 9,ハーモニー]

Team Harmonieのメンバーには音楽家を目指していた者も多い。
和音と共演したいという者も多く、何曲か和音との共演が続く、バイオリン、チェロ、フルート…、演奏の始めは少しぎこちなくても途中からは和音のピアノが彼らの演奏を支えて観客を魅了する。
和音にとっては初見の曲ばかりだが苦も無く弾きこなしていく。

「やっぱ和音ってすごいわ、美帆、気づいた?」
「うん、この前聴いた時と彼らの演奏が全く違うわね、裕子。」
マネージャー達は一度Team Harmonieのメンバー達の演奏を聴いたことがある、違うピアニストでだ。
「自分の演奏で観客を魅了するだけじゃなくて共演者のレベルをも上げてしまうなんて…。」
「まさに天才、オーストリアで向こうのプロと共演したらいったいどんな演奏になるのかしら?」
「想像しただけで鳥肌が立つわね。」

スタッフパーティーの終盤、マイクを手に祥子が話し始める。
「業務連絡です。」
祥子の業務連絡はサプライズが多いこともあってホールの一同はすぐに静まる。
「まず、発売されたばかりの和音のCD、DVDの第二弾も飛ぶ様に売れています。
新しい茂根くんの和音のCDのイメージ画集も予想以上に売れています。」
ホールは拍手と歓声に包まれる。

「テレビの方は年明けから毎週土曜日の夕方、5分だけですが和音達の演奏が流れます。
また全国放送でも何本か放送予定で…、私達マネージャーも出演します。」
「よっ、美人マネージャー!」
ホールから声が飛ぶ。
「有難う、で、ここにいる全員、和音 with Harmony Worksのメンバーだという自覚を持っておいて欲しいの、色々な意味でね。
一つは、和音たちを裏で支えるメンバーとして、自分の行動に責任を持って欲しいの、正直、こんなこと言う必要のないメンバーだと思ってるけど、もしもってことね。
ここにいる皆、立場は色々違っても和音たちの関係者だからね。」
「それって、私も和音さまや真子姫さまと関係者として繋がってるってことですか?」
一人が問いかける。
「そうよ当たり前でしょ。」
幾人かの女の達から歓声が上がる。
ランクの低い子達はまだHarmony Worksのメンバーとしての実感が薄かったみたいだ。
「それから先程の日本とドイツのカルテットは、ドイツの2人に残ってもらって次の大ホールの板に乗ってもらうことになりました。」
拍手と歓声が沸き起こる。
「Harmony Works 夢組、なんてネーミングどうかしら?」
拍手が。
「じゃあ、マネージャー達は、花組だね!」
スタッフの一人が叫び、それに同調する声が飛び交う。
「う~ん、良いかもね、皆どう?」
マネージャー達は笑っている。
「特に異論はなさそうね、マネージャー軍団と呼ばれるよりはましかも。
それで話を戻すけど、Harmony Worksのメンバーとして和音や真子達と何かがやれると思ったら申し出て欲しいの。
真子は踊りで、茂根くんは絵で、そして夢組は歌で共演でしょ。
そんな感じで和音との共演の機会を増やしていこうかと思っているの。
もちろん実力が伴なわなければだめだけどね。」
「写真でもいいですか?」
会場から声が。
「良いわよ最高級のデジタルカメラ使わせてあげるわよ。」
「わお!」
「出来が良ければ写真集出しますからね。」
「がんばります。」

「さてTeam Harmonieのメンバーはサポートメンバーの2人を除いてもうすぐ帰国する訳ですが、遠く離れていてもHarmony Worksの一員であることに変わりはありません。
そのことを忘れないで下さいね。
今日の締めくくりは、やっぱドイツ民謡の乾杯の歌かな?」
ドイツのメンバー達もずっと同時通訳を聞いていたからすぐ準備は整った。
ピアノには和音がつく、楽器を持つ者、楽譜を手にする者。
演奏が始まる。
国を越えたハーモニーがホールに響きわたる。

VISVIM

アバウトミー


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