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マネージャー-11 [Lento 8,マネージャー]

「川野さん仕事の方はどうですか?」
「ええ桜子さん、裏で手を回して下さったんですね、有難うございます。
おかげさまでテレビ局の仕事が増えて生活も安定してきました、Lentoの仕事も増やしていただけましたし。」
「よかった。」
「でも収入は真子に遠く及びませんが。」
「ふふ、気にしない気にしない。」
「真子ちゃん、私にもおごってね。」
「はは桜子さんったら…、そうね今度、私と川野さんと和音の三人、プラス茂根くんって感じのDVDを出そうかって話もあるから、売れたら50円のアイスキャンディーぐらい、おごってあげるわ。」
「え~、真子ちゃんはもっと太っ腹だと思ってたのになぁ~。」
「ふふ。」
「それより、川野さんなの? 呼び方。」
「えっ? それはまあその…。」
「はぁ~、顔が真っ赤よ真子ちゃん。」
「人前では自然じゃないですか?」
川野がフォローする。
「川野さん、確かにそうなんだけど、ここのメンバーは身内みたいに考えて欲しいわ。」
「はい、何か頼れる世話好きの妹が一度に増えた気分です。」
「はは、そうそう川野さん2月の演奏旅行はどうなの?」
「どうなんでしょう? 今はLentoの皆さんに引っ張っていただいてる感じなので…、スケジュールはどうとでもなると思うのですが。」
「じゃあ、一緒に行きましょう、祥子はね、向こうで川野さんにも実力を試してもらいたいって考えているの、場合によっては和音と離れてのステージもありかもって、考えておいて欲しいそうよ。」
「真子と踊る様になってから、色々発見があって、それまでも自分なりに自信を持って活動していたつもりだったんですけどね、視点が上がって視野が広くなった気がしています。
正直、日本とは違った環境に興味がありますね。」
「そうか、まだまだ上がありそうなのね。
そうそう、茂根くんもスケッチ旅行の感覚で同行してもらう事が決まってるんですよ。」
「桜子さん、茂根くんは自分以外は、みんな美男美女になりそうだなぁ~、なんて言ってたわよ。」
「はは、でも茂根くんは外見こそじゃがいもだけど、素敵な人だと思うな、和音が心を寄せる気が分るわ。」
「茂根は良い奴ですよ、話をしていても彼の暖かさが伝わってきますから。」
「ジャニーズ系じゃないけど、いい顔してると思うな、特に絵が認められてから自信にあふれた顔をしてる…、あらっ、うわさの主は、さりげにスケッチの最中ね。」
「真子、彼は、どうして経済学部を選んだのかしら?」
「進学の時、絵では食べていけないって、自分で思ったそうなの。」
「そうか、私達サブマネージャーは、お金のことを考えなくても良い生活をしてきたから…。」
「ふふ、茂根くんも力があったから結局早かったわね。」
「どんな感じだったの? 真子。」
「最初は白川さんや緑川さんが、茂根くんの絵を気に入ってLentoに飾り始めたの。
その絵に気づいた和音が「花と妖精」を頼んで、私達で演じたら反響が大きくて。
白川さんの、皆さんで茂根達也を育ててみませんか? との言葉に乗った人たちで彼の生活を支え始めたんだけど2ヶ月でその支援もいらない状況になって…、茂根くんは支援を名乗り出てくれた人たちに、絵を贈ってね。
え~っと、あのピアノの所に飾ってあるのもその一枚ね。
このまま彼の名が広がったらあの絵も高くなるんでしょうね。」
「花壇をお散歩するニンフって感じかしら、優しくて良い絵だわ。」
「そうなの、和音のベースも優しさだから…、茂根くんの絵を見ながら和音の演奏を聴くなんて最高に癒されるわね。」
「そ~よね~。」
「あれっ? 桜子さん、和音ちゃん立ち上がりましたよ。」
川野が声をあげる。
「あっ、ピアノ弾くみたいね。」
「和音はほんとにピアノ弾くのが好きだからね。」
和音はピアノに着くと誰も聴いたことのないメロディを奏で始める。
それは優しく聴く者の心に染み渡る演奏だ。
そして、聴いている者たちは気づく。
そこにある茂根達也の絵の世界をピアノで表現しているのだと。
しばらくして真子が踊り始める。
とても自然に。

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