ピアノのある店で-7

「お待たせ。」
祥子たちが戻ってきた。

「そろそろ帰りましょうか。」
「はい、祥子さん。」和音が応える。
「今日は色々あって長い一日だったわね、真子の歌には驚かされるし。」
「ほんと一ヶ月ぐらいに感じるわ。」と、真子。
「はは、大げさね。」

４人が立ち上がると客達の視線が集まった。
客達に会釈しながらレジへ向かう。
客席からは拍手と共に声がかかる。
「また、来てね～。」
「ファンになったよ～。」
「テレビ見るからね～。」

レジでマスターが祥子にささやく。
「今度うちの店でも、お二人の演奏お願いしますよ。
ギャラは一流どころと同じだけ出しますから。」
「そうね、考えておくわ。
スケジュールは店のサイトで確認するわね。」
「それとこれは今日のギャラということで。」
「えっ、今日はそんなつもりじゃ。」
「お客様方からのお気持ちですよ。」
「えっ？」
「花を贈りたいというお客様もおみえなのですが、以前祥子さんが話してた和音さんが一ヶ月に貰う花の数の話を思い出しましてね、そんな話をしたら、じゃあギャラをってことで。
そんな話を横で聞いてたお客様がじゃあ私もって感じで集まってしまいましてね。」
「はあ、じゃあマスター、マイク貸して。」
「どうぞ。」

客に向かって話し始める祥子。
「今日は本当に有難うございました。
スケジュールの関係で何時とは今話せませんが近い内にきちんとした形で、このお店でも演奏させていただきたいと思っています、その時はまたよろしくお願いしますね。」
拍手と歓声。
「今日みたいに遊びに来てくれるだけでも良いよ～。」
「また４人で来てね～、みんな綺麗だよ～。」
それに応える真子。
「ありがと～、まった来っるね～。」
和音はにこにこしている。
すみれは、ちょっととまどい気味。
「では、今日はこの辺で失礼します。」

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