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ピアノのある店で-5 [Lento 7,TV収録の日]

「それとですね、お客様に新聞社の方がみえましてね。」
「あっ、仕事ね、私が行くわ、あなたたちはゆっくりしてらっしゃい。」
祥子の顔つきが変わる。
記者を席へ招ねかず、自分が行くということは即、真子たちの時間を守ることになる。
祥子は、こういった配慮が自然にできる。

「新聞か、今度は新聞にのるのかな?」
「中村和音、逮捕ってね。」
「え~。」
「それよりさ、すみれも少しは目立ちなさいよ。」
「私は何にも…。」
「この祥子さんのワイングラスを祥子さんの所まで優雅に届けるの、絵になって。」
「あっ、そうね…。」
すみれの頭にはLentoでのランクアップのことがよぎった。
「やってみるわ。」

長身の美人が和音たちのテーブルから立ち上がれば注目を集めない訳がない。
目が合った客に微笑みながらゆったりと歩くすみれ。
祥子のテーブルにワイングラスを置く。
「祥子さん、どうぞ。」
「あ、有難う、すみれ。」
「こちらの方は?」記者が尋ねる。
「今日の付き人です。」
「付き人? 付き人まで美人なんて有りなんですか?」
「はは、真子の友人でもあるのですけどね。」
「ちょっと真子さんのこととか聞いてもいいですか?」
「良いのかな?」と祥子の方を見るすみれ。
「良いけど、もう少し背筋を伸ばして堂々として、この店で今の瞬間、主役はあなたなのよ、少しは視線を意識しなさい。」
「は、はい。」

結局、新聞記者の取材は、すみれ中心となった、祥子が本人たちに聞くより面白いかもと提案して、記者がそれを受け入れた形だ。
11月10日土曜日の朝刊に記事を掲載する予定となった。
TV出演当日だから宣伝効果も期待できる。

突然の新聞取材、これは単なる偶然ではない。
祥子は、この店の客にマスコミ関係が多いということを知っていたのだ。

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