先崎浩士-6

ある日の演奏。
彼のバイオリンはメヌエットをゆっくりと奏で始める。
それに合わせホールの時間はゆっくり進む。
のんびりした空気がホールに広がる。
その時、真子が客の耳にも届くように声をかける。
「先崎くん、これじゃあ何時までたってもお客様の所にたどりつけないわ。」
この一声で演奏のピッチが上がる。
そして少々忙しげに働く女の子たち。
「お～い、疲れたわ～。」
と真子の声がホールに響くと、またゆっくりとしたペースに。
と、思いきや。
「あっ、いけな～い、忘れ物～。」
この合図でバイオリンは駆け足の早さになる。
そして、女の子たちは急ぎ足でフォークを持って客席へ向かう。
もちろん計画された演出だ。
客たちは、バイオリンと一体となった女の子たちの動きを楽しむ。

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