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長井祥子と梶田岩雄 [Lento 5,秋]

今日は中村和音の妹の通う養護学校の文化祭、和音の新米マネージャー祥子は月初めに発売開始となった和音のCDを持って、ひとり来ていた。

え~っと職員室は…、あの部屋みたいね。
まずは先生方にご挨拶させていただいて、CDをプレゼントして、そうだな妹さんの様子でも聞かせていただけたら…。
ここから入ればいいのかしら?

あっ先生みたい…
「おはようございます。」
「おはようございます。」
「お世話になっております中村絵美の姉、和音のマネージャーを務めさせていただいております、長井祥子と申します。」
「ああ、和音ちゃんから聞いてますよ、まだ時間もありますから上がってお茶でもいかがですか?」
「有難うございます、ではお言葉に甘えさせていただいて、おじゃまします。」

「私は美術担当の梶田です、なるほど、和音ちゃんが美人マネージャーが来るからね~、と言ってたのは冗談じゃなかったんですね。」
「えっ?」
「和音ちゃんは本とにいい子ですよ、妹思いで優しくて、マネージャーが付くほど立派になってもぜんぜん変わらなくて。」
「まだまだ、ひよっこですから。」
「またまた~ご謙遜を、本心は?」
「超一流のピアニストです。」
「ですよね、あっ、お茶どうぞ。」
「あ、有難うございます。」

「ここは小中高と一貫教育みたいなものなんですよ、和音ちゃんは絵美ちゃんが入学してから時々遊びに来てくれてましてね。」
「そうだったんですか。」
「私も最初は優しいお姉さんぐらいにしか受け止めていなかったんですけど、ある時、絵美ちゃんの調子が悪い時に、和音ちゃんが迎えに来ましてね、和音ちゃんが6年の終わりぐらいかな、職員が手を焼いてるのを一目見て状況が分かったんでしょう、あの子、ピアノありますかって、私は妹が落ち着くまでピアノでも弾いて待ってるつもりかなと思って、隣の音楽室へ案内したんです。」
「それで?」
「すぐにピアノが始まりました、優しいメロディがここまで届いてきて、絵美ちゃんはすぐピアノの所へ行って、お姉ちゃんにへばり付いてました。」
「絵美ちゃんもお姉ちゃんのピアノが好きだったのですね。」
「それが、ほんとに驚いたのはその後なんですよ。」
「何かあったんですか?」
「和音ちゃんのピアノが、絵美ちゃんにどうして泣いてたのって聞いてるんですよ、絵美ちゃんはまだちっちゃかったから、あのね、あのねって感じで話してて、話し終わったら、包み込むような優しいメロディに変わってましたね。」
「和音はピアノだけで言葉はなかったのですか?」
「そうなんですよ、でも、その場に居合わせた職員たちは皆、ピアノで会話してたって…、メロディも綺麗だったから感動して泣いてる職員もいましたよ。」
「はぁ~、やはり天才ピアニストは子どもの頃から違うんですよね。」
「ですね、その後はお迎えのついでや遊びに来た時、我々がピアノ弾いてって、おねだりしてましたよ。」
「ふふ、今なら高いですよ。」
「でしょうね。」
「で、これはLentoのオーナーからのプレゼントです、皆さんで聞いて下さい。」
「わお、和音ちゃんのCDですね、あれ? 5枚セットですか?」
「セットという訳でもなかったのですけど、まぁ、まとめて5枚作ってしまったって感じですね、Lentoのオーデション音源とかも入れてたら5枚になってしまったって担当者が言ってました。」
「そうなんですか、無名の新人、CDデビューの感触はどうなんです?」
「そうですね、Lento関連のお客様だけですでに2,000セットぐらい…、バラで買われる人は少なくて…、お一人で10セットとかまとめ買いされる方も多くて、和音のこと知らない人への贈り物だそうです。」
「それってすごくないですか?」
「まぁ和音ですから、でもここからが本当の勝負と思っています、マネージャーとしてですけど。」
「ほんとにプロとして活動していくんですね、楽しみだなぁ…、あっともうこんな時間か、そろそろ会場へ行きましょう、終わってからまたお話ししたいです。」
「はい、もっと色々お聞きしたいです。」


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