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山田高志&戸川大二 [Lento 1,春から初夏]

「なあ山田、昨日もピアノ聴きに行ってきたんだって?」
「まぁな。」
「しばらく前に、少しだけ聞いたけどさ、もう少し詳しく教えてくれないか?」
「Lentoのことか?」
「ああ。」
「どうしようかな…。」
「何をもったいぶっているんだよ?」
「実はな、最近会員が増えてきて予約が取りにくくなってきてんだ。」
「そんなに人気なのか?」
「ああ、お前に話した頃は、それほどでもなかったんだけどさ。」
「予約が取りにくくなったと?」
「まあな。」
「余計気になるな。」
「知りたいか?」
「だから聞いてるんだろ。」
「じゃぁ、今晩おごれよ。」

とある居酒屋

「なぁ山田、飲み物飲んだりしながらだと曲に集中できなくないのか?」
「そういう人もいるだろうな、でもリラックスできて良いという人もいるだろ。」
「まぁそうかもな。」
「Lentoのオーナーはそのあたりのバランスを考えてるんだ。」
「どんな風に?」
「まずコンサートタイム、この時間は普通のコンサートと考えて良い、まぁ飲み物飲んでも良いけど、周りの人に不快感を与えない様にと配慮を求められている。」
「約束ごとがあるわけなんだな。」
「まあな、それからブレイクタイムというのがある。」
「ティーブレイクってことか?」
「うん、まあお茶だけじゃないけどテーブルに飲み物や食べ物を運んでもらったり追加オーダーしたりという時間だ。」
「と、いうことはその時間は生演奏なしか?」
「いや演奏はある。」
「演奏する側としては曲に集中してもらえないなんて嫌じゃないのか?」
「どうなんだろうな、ただブレイクタイムプレイヤーも質が上がってきてるし、俺が見てる分には思いっきり楽しんでいると思うぞ。」
「えっ?」
「色々趣向があるのさ、それからお気楽タイムがあった。」
「お気楽?」
「この時間のプレーヤーは学生中心で、出入りも追加オーダーも自由ということになっていた。」
「過去形か?」
「演奏する学生達のレベルが上がってきて、客としても演奏に集中したくなってきたって感じで、コンサートタイムと実質変わらなくなってきた。」
「前はどうだったんだ?」
「そうだな学生と言ってもオーデションを通った子たちだから決して下手ではなかったけど、場慣れしてなかったということかな。」
「じゃあミスしたらブーイングの嵐だったとか?」
「まさか、Lentoは若い演奏家を育てる場でもあるんだぜ。」
「で、育ったのか?」
「昨日聴いてきた中村和音なんて急成長で、学生なんだけど、主にプロが登場するコンサートタイムにも出てるよ。」
「でも無名の学生じゃ客来ないんじゃないのか?」
「はは、昨日予約が取れたのは奇跡だな、とにかく中村和音とプログラムにあるとすぐ満席、一番人気なんだぞ。」
「そんなに美人なのか、はは。」
「確かに美人だな、でも彼女のピアノはレベルが違うって。
だからLentoのオーナーも後押しして今度CDを作ることになっているんだ。」
「そんな話を聞くと俺も聴いてみたくなるな、でもCD売れるのか?」
「お前はLentoの会員を知らないからな。」
「どういうことだ?」
「平日の昼間が満席になるんだぜ。」
「みんな暇なんだな。」
「それもあるけど、金もあるってことさ。」
「あっ、結構高いんだよな。」
「それでも毎日のように通っている人もいるし、その中には色々なコネというよりは…、力かな、そう力を持っている人もいるわけ、Lento会員サイトのカキコ見てると別次元だな。」
「ふ~ん。」
「Lentoの常連客が中村和音のファンでLentoが好きだという事実と彼女の実力を考えたら結果は見えてるわけよ。」
「話半分としてもすごいな。」
「まぁそういうことだ。」


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