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緑川真と細沢すみれ [Lento 1,春から初夏]

Lentoの事務室にて

「緑川さん、ホール担当希望者の面接お願いしますね。」
「ああ細沢すみれさんだったね。」
「真子ちゃんの紹介よ。」
「ならたぶん大丈夫だと思うな、決まったら後で紹介するよ。」
「私はホールに居ますね。」
「よろしく。」

緑川、事務室隣の応接間へ

「こんにちは、細沢すみれと申します、よろしくお願いします。」
「こんにちは、Lento支配人の緑川です、まぁ腰掛けて下さい。」
「はい。」
「え~っと、柳原さんの紹介でしたね、ここのことは色々聞いてますか。」
「それが彼女、時給が良いしお勧めなの、というぐらいであまり教えてくれないんです。」
「はは、そうでしたか。」
「ただ今日は後に予定を入れないで、ゆっくりしていってねって、言われてます。」
「なるほど、それでは先に事務的な説明を済ませておきましょう。」
「はい。」
「その後Lentoを見学していって下さい。」
「見学させていただけるのですか?」
「もちろんです、では時間の関係も有りますから早速説明をしておきましょう…。」

緑川の説明が終わったようだ

「真子は私を驚かす気だったのですね。」
「そうですか?」
「何か条件が良過ぎませんか?」
「うちは厳しいですよ、仕事に妥協は許されていませんから。」
「でも厳しいと言っても、説明していただいた限りでは当たり前のことだと思うのですが?」
「そう思える人しかLentoは求めていません、まぁ時間も丁度良いですから店へいきましょう。」
「はい。」

厨房は事務室の隣、廊下から中の様子が見える様になっている

「まずは厨房の様子を見て下さい。」
「結構広いんですね。」
「狭いと効率が悪いですからね。」
「あっ、真子を見つけました。」
「まぁしばらく見ててごらん。」
「はい。」

「あの~質問してもよろしいですか?」
「どうぞ。」
「誰もしゃべってない気がするのは、このガラスのせいですか?」
「気が付きましたか、厨房では誰もしゃべりません。」
「それで仕事がミスなくできるのですか?」
「すべて目で確認できるシステムにしてあります。」
「皆さんにこやかなんですけど…?」
「この廊下と同じ様に演奏が流れています、今の演奏者は人気者なんですよ。」
「それだけじゃない様な気が…。」
「声は出してませんけど、時々スタッフ同士でアイコンタクトをとっています、皆、仲が良いんですよ。」
「あっ、今気づきました、スタッフの動きにムダがないです。」
「細沢さんは観察力を持ってますね。」
「え?」
「とても大切な能力なんですよ。」
「はぁ。」
「さ、次はホールの見える所に移動しましょう。」

廊下は途中で階段になっていて少し高い所からホールの様子が見えるようになっている

「うわぁ~、素敵!」
「オーストリアの、とある城の一室を模してあります。」
「お客様がいなかったら、日本じゃないですね。」
「そろそろ、柳原さん達が動き回る時間ですよ。」
「はい、あ、曲が終わったんですね。」
「ここからはブレイクタイムになります、お客様のオーダーをお取りしたり運んだり、演奏中にはできませんからね。」
「でも、また演奏が始まりましたね。」
「はい、彼は学生ですが、なかなかのものですよ、ブレイクタイムプレイヤーの中では今トップの実力です。」
「あっ! 真子たち演奏に合わせて動いてる!
「ホールの仕事には早さを求めていません。」
「なんか、ホールの雰囲気、音楽の演奏、真子たちの動きが自然にとけあって、一つの絵になってるみたいです。」
「これがオーナーの狙いなのですが、もう少しすると…。」
「あっ! 真子が踊り始めた! 曲も変わった!」
「オーダー関連の作業が落ち着いてきましたからね。」
「真子の奴、うわ~バイオリンと息がぴったりじゃん、とことん私を驚かす気だったんだ! ふふ、とか思わせぶりの笑いだけで誘っておいて!」
「どうしました?」
「お願いします! 私を雇って下さい!」

見学を終えたすみれ、緑川と応接間に戻って

「見学させていただいて、私もLentoの絵の中に入りたいと思いました。」
「良い表現だ、絵になれそうなんだね。」
「はい。」
「それではお願いします、ホールの実務面はマネージャーが担当してるので…、え~っと…、今の時間だと真子ちゃんは2階の休憩室にいる頃だから会ってきては?」
「はい。」
「マネージャーの佐山にも手が空いたら休憩室へ行く様に伝えて置きます。」
「わかりました、よろしくお願いします。」
「こちらこそ。」


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