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青山三郎 [Lento 1,春から初夏]

Lentoの隣には広い森がある。
公園の森だ。
庭も広々としている。
梅、桜、躑躅、紫陽花、牡丹、薔薇など、四季を通してどこかで花が咲いている。
店が森の隣に位置するのも、広い庭もオーナーのこだわりなんだそうだ。
店に入る前に自然に触れて、俗世間を少しでも忘れてから音楽に接して欲しいとのこと。

う〜ん今日は特に木々を渡る風が心地よい。
ここで鶯にお目にかかることもある。
おや、今日はひよどりのお出ましか。
あっ、躑躅が咲き始めたな。

店までは2つの道が用意されている。
桜の木から右へ行くと、すぐの所に落ち着いた建物が見えてくる。
桜の木から左へ進むと庭を一周して入り口にたどりつく。
特別なことがない限り私は左の道を散策して季節の変化を味わっている。
もちろん今日歩いているのも左の道だ。
ハナミズキを堪能してから店へ。
店は西洋の古城を思わせる。
ツタもはわせてあり落ち着いた雰囲気をかもし出している。
木の扉に手をかける。
私はこの瞬間が好きだ。
音楽との出会い、人との出会いへ境目となるこの瞬間は軽い緊張感と高揚感を私に与えてくれる。

ロビーに入るとバイオリンの調べが小さく聞こえて来た。
ほほう、クライスラーの愛の喜びか…。
あの子も腕を上げたな。
今日のお目当てはこの次だから、丁度いい時間に来たみたいだ。

まずは予約の確認とオーダーを済ませる。
今の時間帯は大抵美人マネージャーの佐山さんだ。

愛の喜びが終わったところでホールへ入る。
この時間帯は演奏中に入っても構わないことになっているが、他の客や演奏者への気遣いができない人は、ここへは来ないみたいで途中入場の人はめったにいない。

オーダーしたブルーマウンテンが届いたところで中村和音さんの登場。
彼女はまだ学生なのだが最近急成長。
Lentoが育てたという声もよく聞くが私もその意見に賛成だ。
さぁ演奏の始まりだ。

今日はシューマンの子供の情景。
和音さんのピアノは一味違う。
半年前はぎこちなかったのに今は自分のスタイルを確立したという感じだ。
同じピアノなのに和音さんが弾くと違った楽器じゃないかと思える。
才能が開花していく過程をLentoで共有させてもらった気がする。
トロイメライか…、甘く優しく夢の世界だ…。
おっと、涙が出るとこだった…。
もうピアニストとしてトップクラスじゃないだろうか。


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