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大銀河帝国-07 [シトワイヤン-32]

陸路を選んだのは姫さまの祝福をより多くの人に感じて貰う為、今回の旅行は通過する国を大銀河帝国の側に引き込む狙いも有る。
姫さまの存在を恐れているイスラム指導者は少なからずいて、どこからミサイルが飛んで来てもおかしくはないのだが、大銀河帝国を積極的に支持している国々のことを考えると、それは自殺行為に等しいと彼らは理解している様だ。
まあ、こちらの目論見通り、国境を越えてからも巡礼者の出迎えを受けている。
姫さまが、その影響力を及ぼす範囲は広いので実数は把握出来ないが、宿泊地に選んだ町や村での歓迎ぶりは国内外に広く伝えられ、何よりも日本人だと言う事で好感を持たれているという。
それには日本が十字軍に関わっていなかったという歴史的な事実が影響していると話す人もいて、改めて国民感情の難しさを考えさせられた。
この国四日目の宿泊地に到着し。

「姫さま、ここまで時間を掛けた甲斐が有りまして、この国に中東三か所目の社を建設する話が進み、場所の選定に入りました。」
「中東の拠点が一つ増えるのですね、宗教指導者の不機嫌そうな顔が思い浮かびます。」
「大銀河帝国に歩み寄ることにより政治的経済的な安定を優先する方向に傾きました。
この国も国民が一致団結というのには程遠い状況ですが、巡礼者達は姫さまの祝福を感じて国の改革に取り組む方向に。
隣国からの情報も刺激になっていた様で、古い因習からの脱却、それを成功させないと隣国との国力差が広がり過ぎるとの危機感を感じていたそうです。」
「あの王子さまは、派手な投資しつつ、しっかり稼いでいますからね。
そして、イスラムの戒律を緩める方向性は国民の支持を得ています。
それだけに、新たな対立を生み出しかねないのですが…、その兆候は有りませんか?」
「今回の訪問が、その出鼻を挫く形になったみたいです。
世界中の注目を集めている今の状況下で、姫さまや大銀河帝国に対する批判を展開したくても、その根拠は用意出来ないでしょう。
姫さまの祝福を感じた人達の間にはイスラムの戒律に対する疑問が膨らんでいますが、中東各国の権力者達は、姫さまに対して忠誠を誓う者達を抑え込もうなんて事をしようものなら暴動になり兼ねず動けないのです。
巡礼者の人数はそれだけの規模になっていますので。」
「今回の目的地で対立してる人達の反応はどうですか?」
「今の所、姫さまにお見せした彼らの自己主張から進展は有りません。」
「調停案に対する返答も無いのですね。」
「はい、彼等にもプライドが有って引っ込みがつかないのだろうと王子は話していました。」
「そっか、小娘の提案は飲めないと…。」
「ここで、姫さまから怒りの鉄槌とかはないのですか?」
「えっ、そもそも怒っていませんし…、呆れてはいますが…、鉄槌を下すより彼の地に舞姫フレンズを増やせば何とかなると思いません?」
「どうなのでしょう、彼らの価値観が今一つ理解出来ていなくて。」
「対立の構図は単純では無いのですが、皆さんが大銀河帝国の価値観を理解して下さればシンプルに解決すると思います。
この国も隣の王国を見習って宗教改革が進みそうだと、特別警護隊の方が話しておられました。
そのまま様々な対立構造が緩んで行けば、いずれ国を離れた難民たちも元の国に落ち着けるとも。」
「そうですね、時間が掛かっても何とかしたいです。
ヨーロッパに余力を作らないと、アフリカの問題にまで踏み込めないと思うのです。」
「まずは明日からですね。」
「はい、明日は国境近くまで移動、その地に内戦の当事者達を集めたいのですが、まだはっきりしていなくて、国連関係ではない、大銀河帝国舞姫さま特別警護隊の存在を彼らがどう捉えてるのかも分かりません。」
「焦る必要はないです、じっくり取り組みましょう。」
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