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近衛予備隊-30 [高校生バトル-45]

 隣村の店では従業員研修と並行して搬入作業が進んでいる。
 俺達も、店での研修時間が長くなって来た。
 そんな中、予備隊幹部の中でも英語の話せるメンバーは日本人スタッフが昼食に誘ってくれることも有り彼らと親しくなりつつある。
 特に予備隊が担当する売り場のフロアーマネージャーは俺達のことを高く評価してくれているのだが、何故かと事情を尋ねたら信頼出来る大人が少ないそうだ。

「今の調子だと暫くは混乱しそうだから、ルーシーとシャルロットは交代でサービスカウンターのメインになってくれないか。」
「はいマネージャー、何をすれば良いのです?」
「フロアー全体の情報をそこに集約する。
 客からの要望や小さなトラブルは自分の判断で近くに居る社員に指示、英語での対応を求められたらなるべくサービスカウンターに来て貰って対応、判断しかねる時はジョンか私に連絡してくれれば良い、店員たちの困りごともな。
 ジョンは店内を見て歩きフロアー全体の状況を把握、必要が有れば社員に指示を出し客のストレスを減らすことを考えてくれ。」
「ですが、マネージャー、自分はこんな店なんて始めてで何も分かりませんよ。」
「私はそこが面白いと考えていてね、私とジョンでは感じ方が全く違うと思うんだ。
 私だってこの国どころか日本以外の店は初めてでね、英語と日本語しか話せないからジョンを頼りにするしかないんだよ。」
「大人の社員は頼らないのですか?」
「勿論頼りにしてるが、何処まで信じて良いのか…、寄せ集めだから微妙でね、それより近衛予備隊隊長の方が信頼出来るのだよ。
 例え君がミスしたとしても、それは君にとっての経験として蓄積されるのだから、必要以上に気にする必要はないからな。
 まあ、ジョンのことを困らせる様な輩は、例え大金持ちだったとしてもリピーターになって欲しい客では無いのだから気楽にな。
 暫くは私の通訳を担当しながら学んでくれたら良い。」
「はい…。
 しかし、店内作業で使う携帯端末は兎も角、電話には慣れません。」
「店舗内での通話に通話料は掛からないのだから、店内を回り電話を使って状況を伝えることを積極的にしてみたらどうかな、店舗内電話を使ってシャルロットと愛の語らいをするのは周りの独身社員の為にも良くないが、シャルロットにとってはその連絡内容を把握出来るかどうかのトレーニングにもなる、プリンセス詩織グッズコーナーと言われて、そこが何処に有ってどんな売り場なのかイメージ出来るかどうか試しておいても悪くないだろう。
 予備隊メンバーは今日の午後、搬入作業の手伝いとなってるが、ジョンは搬入作業の進捗状況をサービスカウンターに居るルーシーとシャルロットに伝えると言うトレーニングをしてみようか、詳しく正確に伝えられることを目標にしてな。
 ルーシー達は、受けた情報を整理し私に報告してみてくれ。
 その時、ジョンからの報告と君達からの報告を同じにしようとは思わないでくれな。
 同じでは整理されたとは言えないし、君たちの考えで私が必要とするであろう報告をして欲しいのだよ。」

 フロアマネージャーはこんな感じで、さりげなく俺達に難題を突き付けて来る。
 俺達は、そこから相談し実際に試してみて彼の評価を聞くしかないのだが、これは少し嬉しくも有った、そう俺達は彼に能力を認められた上でテーマを提示されているのだと実感しているのだ。
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