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起業-03 [シトワイヤン-20]

「万里、『舞姫万里と仲間たち』の概要、見てくれた?」
「うん、お姉ちゃんもCitoyenのモデルとして頑張ってね。」
「少し照れ臭いけど、姉妹写真に需要が有るそうだから…。」
「姉妹での写真は少なめにして貰うわ、中学生になるのに背の低さが目立つのはちょっとね。」
「仕方ないわね、では肩車して上げよう。」
「絶対に嫌!
えっと、創刊号の写真は来週撮影なのね。」
「ええ、万里は近況報告的な写真とCitoyenの新作、真冬に春夏の出で立ちだけど、屋内での撮影だから安心してね。
二号以降の分は春休みの旅行中に撮影だけど、自然に遊んでる感じで行けそう?」
「大丈夫よ、舞の時だって神の化身かの如く振る舞っていたでしょ。」
「如くなのよね…、時々神様が乗り移ってない?」
「ないない、演技よ、演技!」
「その言葉を信じなさそうな人ばかりなのよね、うちへの頂き物は全部万里へのお供え物みたいな感覚で。
うちで食べ切れなくなる様になってからは、お母さんが施設へ運んでるでしょ、この前、知り合いの職員から感謝されわ。」
「お役に立ってるのなら良いけど。」
「経費がかなり減って食事が良くなってるそうよ、お母さん的には現金にして欲しいのだろうけど。」
「家の前に賽銭箱を置くなんて案は話してないよね?」
「賽銭箱の中身をそのまま施設に寄付する形の方がすっきりするのだろうけど、お母さんとのコミュニケーションを楽しんでる人も少くなくないみたい。
実里にも手が掛からなくなったから、お母さんの役目が増えた事は悪い事ではないわ。」
「そういうものなの?」
「そういうものよ。」
「創刊号では私の仲間として苗川高校生部会の紹介をするのね。」
「仲間で無く下僕という案も結構真面目に検討されてたのだけど。」
「それは色々まずいでしょ。」
「まあ彼らのスタンスはそんな所なのよ。
万里に関われるだけで嬉しいし、万里の出資で起業体験を出来る、実習と研修を通して労働者としてのランクを上げるまでは下僕ぐらいが丁度良いと考えていてね。」
「指導は党の苗川支部の方にお願いしたの?」
「ええ、移住して来られた方が積極的に関わって行きたいと話して下さって、場合によっては高校生部会出身者を雇用と言う先々の事も視野に入れて下さってるのよ。」
「苗川に高校生の就職先が増えると良いね。」
「企業としても、地元の人なら住居の心配がいらないし、高校生部会は市民としての教育の場でも有ると理解して下さっているのよ。
社会と真面目に向き合ってる人なら雇い易いという一面も有るわね。」
「私達の会社でも実習生だけでなく正規雇用を視野に入れているのでしょ?」
「ええ、会社の規模を大きくして行きたいからね。
『苗川銘菓舞姫』と『舞姫万里と仲間たち』以外の事業展開も考える様に指示を出して有るのよ。」
「企業として利益を上げて行けそうなの?」
「正直、お菓子の舞姫は製造販売が軌道に乗るまでには時間が掛かると思う、でも『舞姫万里と仲間たち』は万里さえ協力的なら、それなりに利益を上げられるわ。」
「私次第?」
「万里が多方面で活躍すればするほど、万里関連の売り上げが伸びる事は愛華さんが証明して下さったでしょ。」
「お姉ちゃんも多方面で活躍するのでしょ?」
「身長が伸びたからか、リクエストが増えてしまったのだけど、普通に可愛いのも良い、と言われてしまってね。」
「普通にって、どういう事?」
「神々しくて超可愛い万里は、かえって疲れるんじゃないの。」
「え~。」
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