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九月一日-08 [シトワイヤン-09]

俺達はVTR出演だけでなく、中継先との対話もしている。

『愛華さん、うちからの差し入れは如何です?』
「このマフィンは、だめ!」
『え~、美味しそうに食べてるじゃないですか。』
「美味し過ぎ!
痩せ過ぎない健康的な体型を目指している私にとっても大問題…。
で、どうして四人のテーブルに十個出て来るのかなぁ~。
康太はもう三個目までキープしてるし、あ~ん、清香は慎み深いから、和馬~。」
「分かってるよ、俺がキープしといて、後でな。」
「うん、でも内緒よ、私だって慎み深いのだから。」
などと、小芝居を演じつつ…。
『愛華さ~ん!』
「はいは~い、美味しいですよ~。」
『人気洋菓子店の新作なのです。』
「地方都市連合構想のイベントでも売られているのですか?」
『はい、強気で多めに用意したつもりでしたが、どこも完売しました。
イベントでは、このマフィンだけでなく売り切れ続出なのです、想定以上の方が来場して下さいました。』
「今後、七つの市を結んだ経済活動、見通しは如何ですか?」
『年に何回かこういったイベントを開けたら良いと思います。』
「清香、このマフィン、毎日は買えないみたいよ。」
「ふふ、それは残念です、売り切れ続出ならば、地方都市連合でアンテナショップを運営と言うのは如何でしょうか、初期費用は何とかします。」
『さ、清香お嬢様、真面目なお話しなのですか、今、初めて聞きましたが…。』
「今日のイベントを見ながら考えていました。
安売りするのでなく、良質な商材が届けられるのでしたら、商売として成り立つと思います。
それで地方都市がささやかにでも潤うのでしたら悪くないです。
一つの地方都市だけでアンテナショップを維持することは難しいと思いますが、市民政党若葉の地方都市連合として動くのであれば、党の宣伝にもなります。」
『えっと…、具体的な事は…。』
「そうですね…、康太、株式会社和馬の一部門としてスタートして宜しいですか?」
「ああ、清香さまが初期費用を工面して下さるので有れば何の問題も御座いません。」
「どうかな、物にも依るがCitoyenブランドとしての販売は考えられないだろうか。」
「それは検討に値するわね、同じ商品を普通にアンテナショップで売りつつ、Citoyenブランドとしても販路を拡大して行くのは悪くないわ。」
『それでは株式会社和馬が動いて下さるという事ですか?』
「はい、社員に指示を出しますので、近い内に、アンテナショップとCitoyenブランド取扱い商品拡大の話を発表させて頂きます。
どちらも商品の質が問題となります、特にCitoyenブランドはブランドイメージを更に上げブランド力を高めたいと考えていますので宜しくお願いします。」
『はい、こちらこそ、地方都市連合による地方の活性化を見直してみます。』

一つの特産品が販路を得る事で雇用の場が広がり、地方の町をささやかながらも活気づける事が出来るかも知れない。
長時間に渡る番組を見ながら四人で出した結論だ。
Citoyenブランドで扱う商品の拡大は俺達の検討課題でもあった。
愛華はCitoyenブランドの牛肉なんて案を出したが勿論却下されている。
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