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広報-03 [シトワイヤン-05]

VTRの収録後に岡田さんがどう動いたのかは不明だが、俺達は生放送のスタジオに呼ばれた。
事前に大きなニュースが入ったら出番が無くなると聞いていたが、至って平穏な一日。
俺達を紹介する形に編集されたVTR映像が流された後…。

「ちょっと~、こんな美形を揃えてしまって、今日はスタッフが何時もより多くない?」
「ええ、モデル級、だけど誰も知らない大学生がスタジオに来て下さるとの情報が流れまして、でも、梅子姉さん、今日は真面目なテーマですからね。」
「おバカネタで無い事ぐらい私でも分かるわよ、でもね…、ねえ、イケメン男子の康太くんは二人の美少女に相手にされてないでしょ。」
「えっ、分かりますか?」
「何となくね、でも気にしなくて大丈夫よ、貴方には、今日、大勢のファンが出来たのだから。」
「はあ。」
「ファンの皆さんが市民政党若葉に入って下さったら嬉しいでしょ。」
「は、はい、自分達は既成政党とは違う角度から政治を考えています、単なる学生のお遊びで無い事は、すでに多くの大人が参加して下さってることで分かって頂けると思います。
選挙権が有って、さあ一票を投じようと考えた時、妥協するか棄権するしかないのが現状だと多くの方が思っておられます。
市民政党若葉はバーチャル政党ですので、一票を投じる対象では有りません、それでも皆さんに政治を考えて頂く場として拡大して行けたらと考えています。」

康太を中心に、ほぼ台本通り進んでいたが途中からアドリブが増える。

「バーチャル政党を作るのにどれぐらいのお金が掛かったのかしら?」
この瞬間三人の仲間達は一秒の狂いも無く俺の顔を見た。
予定に無かった質問を俺に押し付けて来る君たちはホントに可愛い、と思いながら。
「そうですね、コンピューター関連の機器を整えたり…、具体的な額をお話ししにくいのはシステム構築をして下さった方々の人件費が関係します、彼等とは成功報酬的な契約を結ばせて頂いていまして、所謂出世払いみたいな。」
「じゃあ、成功したら支出が増えるってことなの?」
「はい、これまでの収支は党のサイトで公開していますので、ご覧下さい。
えっと、この番組のギャラも公開して構いませんか?」
「それは…、こちらから費用をお訊きしたのだから、そこでカンペ出した貴方、大丈夫よね。」
「市民政党若葉はサイト内の広告とスポンサー企業によって支えられていますが、金銭面はすべて公開しています。
自分達にギャラが発生するのがこの番組だけですと、隠す事は出来ません。」
「そうね、いいんじゃないかしら、その額を多いと思う人がいれば少ないと思う人もいるでしょう。
取り敢えず、和馬くんがボスキャラって分かったから、もう少し攻めても良い?」
「はは、優しくお願いします。」

そこからは梅子姉さんとの対話が中心になった。
打ち合わせに無い話が続いたが、そこはさすがにプロの仕事で俺達のことを上手く引き出してくれた。
後で聞いたところ、人的トラブルが有って俺達の次に予定していたコーナーが消滅、その穴埋めで俺達の時間を延長していたとのこと、番組サイドとしても助かったそうだ。
そんな事情が有ってか、俺達は梅子姉さんから食事のお誘いを受けた。
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