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はじまり-01 [シトワイヤン-01]

「今の政党には魅力を感じないのよね。」
彼女が唐突に放った言葉は少し意外で、一瞬、彼女に似つかわしくないと思った。
大学入学から間もないサークル見学後の流れ、なんとなく一緒に歩いていた四人、もう一人の見るからに真面目そうな美人ではなく、派手目な美女の発言だったからだ。
「うん、選挙権が有っても、魅力を感じない政党に投票しようとは思わないな。」
すかさず返したのは、この場にいるもう一人の男子、棚橋とはサークル見学で知り合った。
先を越されて、とりあえず美女の発言がどういう脈絡で出たのか必死に考えてみる、美女達を前に俺は少々舞い上がり気味、だが何とかしないと、そう、こんな美女達との偶然を生かせなかったら、これからの大学生活に希望は持てない。
俺が冷静になろうと頑張ってるとこへ、もう一人の美女から。
「そうですよね、選挙へ行きなさい、投票に行かなくてはだめです、と言われても投票したくなる人がいないと、不祥事を起こす様な人でも当選してしまうの現実ですので。」
やはり見かけだけでなく真面目な人だと確認出来たが、この流れだと次は俺の番だ…。
「そうだよね。」
と、とっさに答えたのは話に加わる為、だが、どう考えてもポイントは低い。
「政治に興味が有るの?」
棚橋は、俺をスルーして、落ち着いた印象の美女に問いかけた。
「興味というか…、大学には政治的に極端な考え方をする人がいると聞いています、あなたもその一人ですか?」
あっ、極右や極左か、それにしてもはっきり聞く人だな。
「自分は中道だよ、極端な意見は何も生み出さないと思っている、瀬田くんはどう?」
いきなり振られたが、これには自分も同感だ。
「俺も中道だよ、でも中道の人達は盛り上がりにくいよね、何にでも反対してれば盛り上がるのだろうけど、ほら、対案を出せない様な野党なんて支持出来ないし。」
咄嗟にもっともらしい事を話したが、あっ、野党って盛り上がっていたっけ…、ここで野党を批判して良かったのだろうか…。
「政治って私達の生活に大きく関係する筈なのに、何かしっくり来ないのよね。」
派手目な美女は、何かしら政治に対して不満を抱いている様だから…。
「君はどこに違和感を抱いているの?」
「そうね…、若者の意見が入り込む余地が無いと思わない?」
「う~ん、そういう視点で考えてなかったよ、棚橋くんは?」
「そうだな、自分も…、選挙権から色々考えた事は有ったけど勉強不足だな。」
「あなた方は、そういうテーマに対して正面から向き合える人ですか?」
唐突だが冷静に話すメガネ美人の言葉に対して、俺は反射的に…。
「勿論です。」
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