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化け猫亭-02 [化け猫亭-22]

「うちは大学に代わる学びの場を社内に構築出来ないか検討を始めましたよ。」
「結構踏み込むのですね、進学希望の高校生を取り込む事も考えているのですか?」
「まだどうなるか分かりませんが、優秀な子だけを対象にしない、我が社に合わなかったら猫桜会の別企業を紹介するという前提、場合によっては黒猫組で受け入れて貰う様に藤井組長の了解も得て有ります。」
「学びの場か、花音ちゃんは、大学で無駄に思える講義を受けてたりしない?」
「そうですね…、まだ、就職してみないと分からないです。」
「ならば、一度就職してから、必要だと思える事を中心に研究したり学習したりって効率が良いと思わないか、更に付け加えるなら受験の為だけの学習を回避してさ。」
「受験勉強を通して広い分野の知識を得たとは思っていますが…。」
「その知識をワンランク下げる代わりに、興味の有る専門分野をもっと高めるという発想はどう?」
「将来設計が出来ていれば有りかも知れません…、確かに限られた時間を…、化け猫組の皆さんは大学に否定的なのですか?」
「花音ちゃん、決してそういう訳では無いのだがね。」
「でも、化け猫亭で皆さんのお話しを伺っていると…、いえ、それだけでなく、猫桜総合学園から発表される内容も大学の有り方を見直すものが多いですし。」
「花音ちゃんみたいに真面目な子には有意義な大学生生活を送って欲しいよ。
でも、そうだな、教育関連で学力が問題になるが、仕事の現場では仕事が出来るかどうかが問題なんだ。
社員募集の過程で評価基準として学力は重視されている、でも、それ以上にどういう人物なのかが重要だと思わないか。」
「勿論です。」
「でも、今までの採用制度ではその見極めに失敗することが有り、近年その率が上がっている事は知っているでしょ。」
「はい、入社後短期間でやめてしまうとかですね。」
「それに対して、一企業単独では策が出せなかったのだが、猫桜会としてまとまった事によって試せる事が増えた、というか化け猫組として案を出せる様になったんだ。」
「その一つが先ほどの…。」
「今、検討してるのは、高卒社員の更なる地位向上、今でも高卒入社のリーダーが大卒入社の部下に指示を出してる現場も有るが、社会的には大卒の肩書が無いと低く見られがちでしょ。」
「それは有ると思います。」
「だが、大卒の肩書の為だけに、大した向学心も無いのに経済的負担を家族に背負わせて、なんて事も有るじゃないか。」
「はい、奨学金という名目の借金を背負っている、という話も聞いています。」
「私達は子猫組で試して貰ってる事をもっと広げて行こうと考えているんだよ。
藤井組長の最終学歴は中卒、それでも桜花党の党首を任せたいと思えるだけの経験を短期間で積んで来たし、向学心を伴わずに進学した人の何倍もの学習をしている、でも国立大学には合格出来ない、入試の為の学習をしていないからね。」
「学歴は関係ないと…。」
「学歴ではなく人物や実力を見る、我が社は採用に関して明確な意思表示をして行こうとしているんだ、高卒で入社しても、そこからの学習、研修環境を充実させる事で、そうだな入社後の数年間を大学より充実した環境で働きながら学んで貰えないかとね。」
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