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神沢祐樹-71 [高校生会議2-16]

「祐樹さん、どう、良い曲は出来ましたか?」
「どうでしょう…、とにかく二人で意見を出し合って一気に下書きを描いたという段階ですので。
感性の趣くままに作って、ある程度形が出来たら次の曲に取り組みました、聴き直したらひどいものかも知れません。」
「これから手直しをして、明日学校で聴いて頂いてから再度手直ししたものを先生に聴いて頂こうと思います。
お母さま、先生とは連絡取れましたか?」
「ええ、昨日の番組を録画したものと二人の作詞作曲デビュー作を送らせて頂いたわ。
普段の彼の作風とは方向性の違う楽曲に、どの様な反応を示して下さるのでしょうね。」
「一度パーティーの席でお話させて頂いた時は、良い曲が歌のあまりお上手でない方に歌われている事を嘆いておられました。
アイドルの中には人前で歌うレベルではない歌唱力の方がお見えだそうで、ひどすぎるからファンが大声を張り上げてかき消そうとしてるのだそうです。」
「あっ、オタ芸の話は聞いた事があるが…。」
「でも祐樹さまの歌なら大丈夫、楽しみ方は人それぞれですが、私は普通に聴いて頂ける歌をお届けしたいです。」
「子ども達が喜んでくれる歌が完成すると良いわね、でも何曲も作るのは大変でしょう。」
「はい、ですが色々作戦を考えまして、主題になるメロディを幾つかの曲で共有し全部の楽曲で変奏曲集の様な形にします。
話言葉のイントネーションを元にしていますからメロディラインが有る程度絞られますし、子ども達が無理なく歌える音域で、使う音にも制約を決めました。
全てが似た様な曲になりますが、楽しげなリズムで変化を付けています。」
「簡単な曲という事なのね。」
「ええ、ただそれだけでは面白くありませんので、同じ歌詞で二曲作ってみました、それぞれ独立した曲として歌えるのですが、リズムを合わせて有りまして、二人でその二曲を同時に歌えばハーモニーを楽しめる、合唱の基礎練習にならないかと目論んでいます。
CDでは、まずユニゾンで歌ってから、二人でのハーモニー、最後にそのアレンジという形を考えています。」
「実験的な作品という事なのね。」
「はい、二つのパートが共に主旋律ですので。」
「問題は祐樹さまの考えられた歌詞です、お母さま、困った、って曲が有るのですよ。」
「困る事が有るの?」
「子どもにだって困る時が有りますよ、授業で当てられて答えが全く分からないとか。」
「そんな時に子どもが困ったなと歌い始めてしまったら、楽しいですが問題になりそうではないですか。」
「子どもが授業中に歌い出しかねないという訳なのね。」
「その別パートを仲良しの子が歌い出したら素敵です。」
「先生の方が困ってしまうわね。」
「あっ、面白いかも、困った、の先生バージョンも作ろうか。」
「面白いですね、でも、曲が出来過ぎて困った事になりそうです。」
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