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岩崎高校生会議-37 [高校生会議-20]

岩崎国際同盟諸国歴訪の旅は私にとって久しぶりの海外旅行。
今回の目的は加盟国間の関係強化、新たに加盟した国も有り十一カ国をゆっくり回る予定。
大震災から復興中の国では慰霊式典が予定に組まれている。
一か国目のホテルに着いて…。

「桜、ここまでは想定外? 想定内?」
「空港からここまで…、ある程度は予想していましたが…、パレードであそこまでとは…、聡美はどう思った?」
「私の位置からは沿道の人が良く見えました、歓迎ムードで盛り上がりかけてる所へ、遥香さまのオープンカーが近づくと、皆さん静かになって、跪くか呆然と立ち尽くすか、文化祭の時と同じ反応とは言え、その規模が違います…、最近女神さまパワーが徐々に強くなっているのは感じてましたが…。」
「う~ん、お姫さまモードはコントロール出来るけど…、そっちは私にも分からないのよ。
相談出来るのは本物の神様だけという事かしら、桜のお知り合いに神様はいらっしゃらないの?」
「残念ながら遥香さまだけです…、遥香さまは、特にお体とかお変わりは無いのですか?」
「ええ、健康そのものよ。」
「そう言えば…、私達もインフルエンザとかに無縁で、オフィスでも病気で休む人がいなくなってた様な…。」
「う~ん、この現象を科学的に解明したいとは思うけど…、私がいぢられるのは嫌だわ。」
「はい、遥香さまを気安く研究対象なんて絶対ダメです、お医者様であろうと許せません。」
「遥香さま、桜、スタッフからテレビを見る様、連絡が入りました…。」
聡美がテレビのスイッチを入れると…。
「わ~、沿道には…、こうして見ると、本当に大勢の人が歓迎して下さったと実感出来ますね…。」
「女神さまパワーについて検証を始めてるのが面白いです、双眼鏡で少し離れた所から見ていた人にも影響が有った事は参考になりますね。」
「それで…、テロリストに遠方から狙撃されるリスクが下がるのなら良いのですが…。」
「聡美は、そんな心配してたの…。」
「桜、女神さまの出現は既存の宗教団体の指導者にとって、また宗教と密接な形で政治を行って来た国の指導者にとって大きな脅威だと思いませんか。
民心が女神さまに移り自分達から離れてしまっては立場が危うくなると考える指導者は少なく無いと思います。
宗教団体にとっては、経済的ダメージも考えられます。
訪問先各国の宗教関係者と面会する企画を組んで反発を弱めようと動いてはいますが、充分かどうかは…。
遥香さまは多くの信者を得ると共に多くの敵を作ったと考えるべきではないでしょうか。」
「私は覚悟の上で動いているから大丈夫だけど、無関係の人がテロに巻き込まれる事は避けたいわ。
私が神様扱いされるという予定外の事に対して対応を誤ると、大きな対立を生み出しかねないのよね。
そうなってしまったら、ボーダーレス教団を立ち上げたこと自体が間違っていた事になるわ、でも、もう後戻り出来ないのよ。」
「はい、大きな問題ですので、緊急課題として世界中の岩崎高校生会議支部でも検討して貰うというのはどうでしょう。」
「そうね、急ぐべきだわ、私に対するアンチや反ボーダーレス教の動きを知りたい、岩崎王国国民の意思も確認しておきたいわね。」
「では、すぐに。」

岩崎王家からの依頼や指示が世界中に広がるのは早かった。
旗を振って私を歓迎しようとしていた人達が、思わず跪き手を組む、といった姿を捉えた映像が世界配信された事によるのだろう。
高校生会議の文化祭で失敗した映像スタッフは、色々工夫を凝らし良い仕事をしてくれていた。
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