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154-シナリオ [岩崎雄太-16]

婚約発表の後、譲治達は岩崎村にある雄太の家を訪問した。

「譲治、スケジュール通り行ってるか?」
「はい、今の所大きなアクシデントもなく、公演と撮影にゆとりは作って有りますが、狂うとスタッフの生活にも影響が出ますので、少なくともミスによるスケジュール変更が起こらない様に徹底しています。」
「人数が増えたから大変だろうが、スタッフも成長してるのかな。
ところで、しばらくは岩崎村近辺に滞在と聞いてるが。」
「はい、番組でも過疎の村を再生させた親父さんの実績にもう一度光を当てます、映画の撮影も有りますし、自分達の新居の話も進めておきたいです。」
「ああ、一般人が入れないエリアを用意させた、建物も今の内に色々決めておけば新婚旅行後に入居出来ると思うよ。」
「有難う御座います。」
「結衣の希望はさほど広くない間取りと聞いたが、いいのか?」
「ええ、お父さま、広すぎる家では掃除が大変ですから。」
「兄弟に色々手伝って貰えば良いのよ。」
「でも、お母さま、私はそういう生活に慣れてませんので…。」
「子どもが出来たら頼った方が良いの、絶対無理しちゃだめ、何もかも自分でやろうとするのじゃなく仕事と同様に分担して行くの、あなたには女優としての仕事も有るでしょ、映画監督の仕事も。」
「有難う御座います、まだ子どもが生まれてからのイメージが出来てなくて。」
「はは、結衣はまだここで新婚生活を始める頃までしかシナリオが出来てないのですよ、もちろんそこまでのシナリオだって、どう変わって行くのか分かりませんが。」
「シナリオか、そうよね、あなた方の場合は人生がそのままテレビドラマになってしまう、二人ともさらけ出してるけど、大丈夫なの?」
「私は譲治さんが中心となって作ったドラマに心動かされたのです。
CMの場面をドラマに入れるだけでも斬新なのに、その繋ぎのシーンではほとんど演技していない、CM撮影という非日常とリアルな生活がバランス良く表現されていて、その場に自分役で入りたいと思いました、もちろん譲治さんの相手役としてです、ですから今すごく楽しくて。
普通ならスポンサーとの関係で出来そうにもない事でも、お父さまのお力も有って可能になってますから。」
「譲治は?」
「憧れの女優から好きと言われてしまいましたからね、結衣は演技と現実の狭間という当初の狙いを強化してくれました、映画『女優』の路線を受け継ぐ形で制作中の『結婚』も期待して下さい。
岩崎ファミリーとしての売り上げが増えて、幼い弟や妹により多くの援助が出来るのであれば自分は何だってしますよ。」
「有難うな、譲治のその姿勢が他の連中の心も動かしているよ。」
「ねえ、あなた達、撮影と舞台と、色々有って大変じゃないの?」
「大丈夫ですよ、お母さま、まとめて撮影しているので余裕です、映画やドラマの撮影で長時間拘束された経験もありますが、その時と比べたら全然楽に進むようスケジュールを組んでいます。
例えば、デートの場面、何が起きてもNGを出さない代わりにデートの本数を多くしてます。
大好きな譲治さんとですから恋する乙女を自然に演じられます。」
「はは、週刊誌がネタにしたら、そのまま番組や映画の宣伝という事か。」
「撮影されててもデートは楽しいの?」
「もちろんです、心の底から楽しんでるから、ふふ、デートなんて少し演じてるぐらいが調度良いのかも、というのが『続デート』のテーマ、来週放送されます。」
「う~ん、明香、参考にしてたまには二人で遊びに行くか?」
「ふふ、この子達見てるとそんな気にさせられるわね。」
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