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69-監視 [キング-07]

城へ戻って。

「八重、子ども達は?」
「もう寝たわ。」
「私達も明日の事が有るから早めに休みたいが、状況の整理をしておかないとな。」
「キング、彼等の根には人種差別が有ると思うが。」
「そうだな、推測でしかないが自分達は優秀な人種、もしくは他の人達を低い人種と考えている可能性が有る、またリーダーグループではない自分達を、国内でより優位な立場にしようと考えたのだろう。
そして、この世界のルールを利用して自分達の思いを成功させつつ有った。
彼等の誤算は他に国家が存在していた事、我々との接触は考えてなかっただろう。
もう一つの誤算はこの先労働力不足になる可能性、まだ気づいてないかもしれないが。
三之助、相手をした女性はどうだった?」
「ほんとにすごい話術だったわ、完全に良い人を演じながら他の二人を争いに導いていこうとしてた、相手がまだ子どもを産めそうな人だったからでしょうね、今まで死者が少なかったのは子どもを残せない状態になったら、ターゲットから除外してたからだと思うの。」
「二丁目とは逆に頭の良い人達なのね。」
「それだけに、今後どうするかって問題が大きいな。」
「とりあえずキングは、ちょっと気付いてると匂わせた、頭の良い人なら過剰反応するかも、特に精神状態の不安定な時期だけにね。」
「他の人達へはどう伝えるの?」
「まだ事実かどうかの完全な裏付けは取れていない、調査の必要は有る、確証が得られたとしても混乱させない為に、しばらくは誰にも話さないのが最善だろう。」
「他の人達に問題が有るのかどうかも、まだ分からないのよね。」
「キング、他国とはどの程度情報を共有して行く?」
「少しづつで良いだろう、あの国の危険性は理解しているだろうし、今までと違ってブラックコロニーの連中が一番長生きする可能性が高い、方針を固めてから相談した方が良いだろう。
まずは三郎と三之助であの国を担当して貰えるか? 残ってる人達の肉体年齢とかも把握して欲しいのだが。」
「そうだな、やってみるよ。」
「ブラックコロニーはしばらく様子見ね。」
「あっ、そうだ、私達の端末でマリア達の隠しカメラを見る事が出来る、マリアが子ども達に教えていた。」
「あのコロニーを監視出来るのね、どうやるの?」
「明日、望に教えて貰ってくれるか、たぶん気軽に使えない様にだと思うが説明に時間が掛かるんだ、かなり無駄な事をさせられる。」
「それは我々以外、誰にも知られたくない機能では有るな、その存在さえも。」
「子ども達は私達の知らない事も教えられているのね。」
「空気中の酸素濃度を調べたり、統計情報の整理、人の感情を数値化するなんて機能も有る、子ども達は、今我々が必要としてない機能も教えて貰ったという事だ。」
「監視機能以外に今活用出来そうな機能はないのか?」
「もう一度検討してみるが…、嘘発見器は使えそうだな、後は子ども達と相談だ。」
「監視機能は向こうへ行かないと使えないの?」
「ああ、あっ、そうか、マリアはここですべての国を管理出来るシステムを与えてくれた様だ。
教えられた時は、使う事を想定してなかったので深く考えてなかったが。」
「どういう事なんだ?」
「私達は、この世界に存在するすべての端末をハッキング出来る、おそらく他のリーダー達は知らない機能だ。」
「そんな事も子ども達に…、思ってたよりも特別なのね。」
「今から試してみる、時間が掛かりそうだから、明日のスケジュール確認は三郎中心に頼めるか。」
「了解。」
「尊が起きてたら早いのだが。」

城の住人以外に知られたら問題になりそうな機能をマリアはまず子ども達と私に教えた。
城の子ども達の口から他へ漏れてはまずい情報だ。
翌日の予定が変更される。
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