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室長-09 [安藤優-03]

工場視察、テレビ出演、そんな仕事の合間には家族で観光に出かけ楽しい時を過ごした。
そんな旅行中の一日だけ、優は家族と別行動を取った、工科大学の見学の為である。
工業大学で知り合った留学生が紹介してくれたのだ。
特務室の矢崎が紹介先の教授と連絡を取って調整していたので、優が充実した時間を過ごす事が出来ただけでなく、先方の研究者達にとっても意義深いものとなった。

研究者の説明を受け質問しているうちに。
「あっ、そうか確かに理屈としては通ってるね、優はどうして、こんな事に気づいたんだい?」
「この装置とは全く違う分野で似たシステムを見た事があるのですよ、サム、うちの関連会社の製品なんだけど、それが応用出来そうで、特許とか大丈夫だと思うけど一応確認取りましょうか?」
「お願い出来るかな。」
「宇野さん、高島技研の確かTK3000という製品だったと思います、高島技研へ連絡を取って下さい、この工科大学の名前を出せば喜んで協力してくれると思います。
本社の技術開発室にも連絡を入れて、問題がないか確認して貰って下さい、基本特務室が仲立ちをする形にしておきたいのですが大丈夫でしょうか?」
「分かりました、まずは私が担当になります。」
「サム、他にもあなたの参考になるかもしれない装置が有るから、こちらに問題のない範囲で協力させてもらえないですか?」
「もちろん!」
「宇野さん、優はどうしてこんなに…、まだ十二歳だよね。」
「ただの十二歳じゃないよ、色々な分野を見て来た事がすでに蓄積されていて、まあうちの社長直伝なんだけど、能力の高さは半端じゃないんだ。」
「飛び級でここに入れるんじゃないか?」
「かもしれないが俺のボスがこっちに来てしまうと色々問題が有りそうだよ。」
「飛び級か、高校の内容はもう直ぐ一通り終わるけど、こちらは色々違うんだろうね。」
「室長なら言葉の問題もないですしなんとかなるとは思いますが、うちの重役連中が絶対手放さないと思いますよ。」
「父は多分さみしいと言いながら許してくれそうなんだけど。」
「お願いします、日本にいて下さい。」
「はは、それが宇野さんの本音なんだね。」
「サム…。」
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