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新年度-01 [チーム桜-07]

年度が変わり桜根本社には緊張感がみなぎっていた。
新入社員はもちろん、ここまで桜根を支えて来た社員達もだ。

「吉田君ごめんな、もっとじっくり説明してあげたいとこなんだけど。」
「大丈夫ですよ、門田さんが関西支社設立に早く専念出来るようにがんばりますから。」
「すまんな。」
「新入社員全員で協力して先輩方の負担を減らしていかないと松野に怒られますし。」
「はは、彼女はタオル工場の立て直し関連でずいぶん実績を上げたからな、そのまま社長という選択も有ったが。」
「松野里香は副社長候補になっているそうですね。」
「ああ、あのお転婆娘に本社を任せて、俺たちは各地へ旅立つという作戦なんだ。」
「でも本社の副社長なら早瀬常務の方が適任では?」
「いやそうでもない、俺達としては佐紀さんには極力安藤社長についていて欲しいと思っているんだ、本社担当の副社長になってしまうと時間的な制約が大きくなってしまう、それと松野君は安藤社長とはずいぶんタイプが違うから面白いだろ。」
「でも本社を新卒に預けて大丈夫なんですか?」
「本社が一番安定してるということさ。」
「あっ、そうですね…、このエリアでは桜根傘下入り希望企業を桜根傘下の企業が率先して導いていると聞きました。」
「君も油断してると自分の仕事がいつの間にかなくなってるって事も。」
「よして下さいよ、そんなの寝れなくなるじゃないですか、これから頑張ろうと思ってるのに。」
「じゃあ、君にだけ特別な仕事をあげよう。」
「は、はい。」
「まずは、現時点での桜根傘下入り希望企業リストの精査だ、資料を見て疑問を感じる所が有ったらきっちり調べて報告してくれ。」
「はい、分かりました。」
「俺も調査していくから、まあ俺との勝負と考えてくれな。」
「はい。」

「山根さん、この資料うまくまとまってたわね。」
「はい、有難う御座います。」
「ただね、自分がこの部署のトップだったらって意識有るのかな。」
「えっ、私は新人ですし…。」
「桜根本社総合職の意味分かってるかな、総合職を選んだという事は、支社長を目指すくらいの気持ちが必要なんだけど、あなた安藤社長や大川支社長、長江支社長のお言葉、きちんと受け止めてる?」
「えっ、あっ…、すいません足りてなかったです、私。」
「きついこと言う様で御免ね、私も早く大阪支社設立に力をそそぎたいのよ、お願いね。」
「は、はい。」

「なあ、さすがに新人に対して支社長を目指せなんて厳し過ぎじゃないか。」
「いずれは日本中に支社を設立して行く訳でしょ、だから新人でも立派な支社長候補、場合によっては傘下企業の重役になるかもしれないしね、まあアメとムチという事で、アメ玉お願いね。」
「はは、分かったよ。」
「門田さんは明後日から大阪出張でしょ、留守中に気を付ける事は何か有る?」
「とりあえずは、吉田君と山根さんかな、他の案件は大阪にいても大丈夫なんだ。」
「OK、でも抱えてる案件は減ってるの?」
「ああ、グループ内転職で来てくれた斎藤さんが進めてくれてる、ご自身が企業再生を経験してみえるから理解も早いし、慣れたら北陸支社長ぐらい任せられるんじゃないかな。」
「それなら、何時、関西支社設立の話が有っても大丈夫ね。」
「今回の出張で目途をつけて、安藤社長と相談したいと思ってる、傘下入り希望が増えすぎる前に動き始めたいと思っているんだ、俺には長江さん程の力がないからね。」
「私も手伝える様に、まずは引継ぎをがんばるわ。」
「うん、頼むよ。」
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