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薔薇-2 [Lento 14,薔薇]

茂根達也は薔薇を見ていた。
絵を描く用意はできているが一向に書き始める様子はなく、真っ赤な薔薇をぼんやり眺めているだけだ。
時折目を閉じて、そう目に映った薔薇を心でも見ている…。
薔薇は真子から3輪もらったものをシンプルな花瓶に、活けたというよりはただ入れただけ。

おもむろに絵の具で色を作り始めたのは、薔薇を見始めてから30分後ぐらいか。
彼の場合、ここからの描き方は二つに分かれる。
日数をかけてじっくり描くか、一気に仕上げてしまうかだ。

この薔薇は一気に仕上げることにしたみたいで。
いきなり一枚一枚の花びらを完成させていく。

一気に描いて行く時は完成した作品のイメージが頭の中で完成した時だと、彼は言う。
時間をかけ過ぎるより、結果自分の納得のいくものが描けることが多い、とも。

「うわ~、素敵、薔薇のアップを描いたんだ~。」
「うん、和音、最初この薔薇を見た時はあまりの鮮やかさに、描ききれるかな、とも思ったけどさ、まぁ、何とか描ききったって感じかな。」

「ねえ、この絵さ、今度出す、真子のJazzボーカルメインのアルバムで使っていいかな?」
「もちろんOKさ、情熱の真紅は真子のトレードマークになりそうなんだろ。」
「うん。」


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バラ
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