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細沢すみれと柳原真子-3 [Lento 4,初秋]

4人は2組に分かれて踊りはじめた。

ミュージカル映画、サウンド・オブ・ミュージック版レントラー。
真子がこの曲を選んだのには理由がある。
演奏会のアンコールで、サウンド・オブ・ミュージックの中の「My Favorite Things」を演奏したことから、マリアとトラップ大佐がレントラーを踊るシーンを見たいという声が幾つか寄せられていたのだ。
相手役のこともあり、そのままは無理だから少しアレンジして5,6組で踊ることを考えている。
これは大ホールでの演奏会も意識してのことだ。
衣装は民族衣装を模した物にするつもりだ。

2回目からはDVDで雰囲気を掴んで来たスタッフも踊り始めた。
しばらくして真子とすみれは踊りをやめ皆の踊りを見ていた。

「すみれ、高橋くんいいんじゃない。」
「やっぱり、見せる踊りということを分かっているわね、でも彼の友達の川野さんも良いわよね、彼なら真子の相手役も出来そうじゃない?」
「確かにそうね、年齢的にもルックス的にも踊りも…。
後は舞台で踊れそうな人をチェックしておいてね。」
「おっけい。」

しばらくして音楽が終わる。
長めに曲が続いていたこともあって踊っていた人たちは飲み物へ手が伸びる。

真子が川野に声をかける。
「今日はお忙しいところお越し下さいまして有難うございました。」
「いえいえ、こちらこそ、こんな沢山の美女を生で見たのは初めてですよ。」
「普段はどんな踊りをしてみえるのですか?」
「高橋くんたちとストリートダンスをすることも有るのですが、一応職業はバックダンサーです。」
「成る程、納得しました、見せる踊りをしっかりしてみえましたから。」
「有難うございます、子どもの頃はバレーもやってたんですよ。」
「あ、あの一つお願いが有るんですけど…。」
「なんでしょうか?」
「ちょっと着替えて私と今のレントラーを少し踊っていただけないでしょうか?」
「えっ、ええ、もちろん! 喜んで!」

着替えに行く二人。
途中、衣装担当のスタッフに声をかける真子。
スタッフの女の子は、すぐとびきりの笑顔になって小走りに衣装の用意に行った。

すみれは高橋に声をかける。
「どうだった? 普段踊ってるのとは全然違ったのかな。」
「はい、すみれさん、でも最初思ってたより、うんと面白かったです。」
「踊りってね、自分が踊っていて楽しいというのと、見ている人も楽しいのと二つに分かれる気がするの、君のはちゃんと見ている人を意識した、舞台でも通用する踊りになってたわよ。」
「有難うございます、え~と、川野さんは…。」
「あらっ、真子が拉致したようね。」
「川野さんはプロなんですけど、時々ぼくらのダンスを見て指導して下さっているんです。」


 サウンド・オブ・ミュージック

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