「祐兄は明日もお出かけ?」
「ああ、イベントの打ち合わせと練習だよ。」
「子どもの日のイベントね、私も行きたいな~。」
「俺の担当は小学五 六年生の部、おこちゃまの優香だけど中二だから、だめなんだよな~。」
「私が行けなくなった年から祐兄がメインなんだもん…。」
「でも今年はテレビ局が取材に来るそうだよ。
ローカルニュースで少し流れるのじゃないかな、主役は子ども達だから俺は映らないかもしれないが。」
「う~ん…、テレビ局の人に祐兄ファンはいないのかしら、そしたら祐兄を沢山映して下さいってお願いするのに。」
「さすがにそれは無理だろう、でも、これから事務所の活動が活発になって行けば、優香にだってテレビ出演の機会が有るかもしれないよ。」
「色々練習しないと行けないのね。」
「優香は滑舌が良いしトーク力が有るから大丈夫さ。」
「学芸会の劇では主役をやらせて貰いはしたけど…。」
「はは、隣で見てたおじさんが、アイドル名乗ってる子よりうんと上手だって褒めてたな。
優香には色々な可能性が有ると思うよ。」
「それより何時放送されるとかは明日分かるの?」
「どうなんだろう、イベントチーフにでも聞いてみるよ。」
「事務所には市民コーラスの方も?」
「うん、趣旨だけは伝えさせて貰う、まあ今まで通りのボランティア活動はそのままだけどね。
ただ、柿川は合唱が盛んだから、ハイレベルな歌声を聴きたいという需要は有るんだ。」
「そうよね、祐兄が舞台に立つ時は何時も満席だもの。」
「だから、お店と契約してゴスペルを披露するとか、そんな需要を掘り起こす事も出来ると思ってる、まあ色々試す事になるだろう。」
「絵美さんは歌がお上手だって話だけど、演奏会を開いたりとかは?」
「ちゃんと声楽を基礎から学んでいるからね。
まだ形は決まってないけど、取り敢えず市民コーラスの一員になる方向で、明日一緒に行ってチームリーダーに紹介する予定だよ。」
「お誘いしたの?」
「いや、市民になったのだから、参加してみたいそうだ。」
「ふ~ん、まあ絵美さんの気持ちは分かるわ、少しでも長く祐兄と一緒にいたいんだろうな。」
「はは。」