サッカー部練習中。

「ごめん今のは俺のミスだ。」
「いや俺が切り込むタイミングが遅かった気がする。」
「でも吾郎のスピードは健も把握してなきゃだめだろ。」
「まだこの体制になってから間がないから仕方ないけど、これからどうして行くかも考えるべきだよ。」
「個人のスピードとかはすぐに上がらないって言われたな。」
「どうだろう、俺は…、何となくだけど吾郎のスピードは上がる気がする、あ~根拠がなくてはだめなんだよな。」
「いえ、先輩の言う通りかもしれません、単に早く走るという事ではなくて…、体の動かし方というか方向を変える時プロの選手は違いますよね。」
「そうだよな、マネしてみるか?」
「コーチに相談しても良いだろ?」
「だよな、さっきみたいな場面で皆の動きがワンテンポ早くなったら強くなると思う。」

「秋田先生、子ども達が自分で考える様になってきましたね。」
「立岡、こういう子達が色々な意味で伸びるんだよ、サッカーの力は決して高くないが、スポーツを通してな。」
「スポーツに取り組む意味ですよね、自分も中学生の頃は何も分からずにボールを蹴っていました、でも高校で先生の理論と出会って、はは、なぜ俺達はボールを蹴るのかって本を出してみたいと思ってますよ。」
「おお、なかなか良いタイトルだな。」
「さすがに売れそうにないですから、卒論で頑張りますけど。」
「はは、私はサッカー部の指導者向けの本を頑張って仕上げないとな。」
「売り上げには協力しますよ。」
「頼むな、車の購入資金の足しにしたいから。」
「あれっ、この前バイクを買ったばかりじゃないですか?」
「妻は車を買い替えたかったんだ、随分文句を言われてな。」
「大変なんですね…。」

「秋田先生ちょっとお願いが有るのですが。」
「どうしました、花井さん。」
「この地域の方と中学生達との交流の場を持ちたいと考えているのですが、きっかけとして部活動を考えていまして。」
「ああ、良い事だね、どんな形で始める?」
「まずは練習を見て頂く所からと考えているのですが。」
「それは構わないが…、う~ん…、漠然と見て頂くよりは色々説明させて頂いた方が良いだろうな。」
「ですね、コーチ達にも協力要請しましょうか。」
「立岡、頼めるか。」
「はい、うまく行けば生徒の親の負担を減らせたり、別の展開が見えて来るかもしれませんね。」
「見学に来て下さる方の中からリーダー的存在を見いだせないかとも考えているのですが。」
「花井さん、組織作りだね、その辺りは他の部活とも連携した方が良いよね。」
「ええ、方向性としてはこの中学のサポーター的なものを描いていて…。」
「そっか、小学校はまだ地域との繋がりが有るけど、中学校になると随分弱くなるよな。」
「成程ね…、私も調べて考えてみるよ、花井さん、情報流してくれる?」
「はい、お願いします。」