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中学校-13 [チーム桜-10]

緒方と寺田、カフェにて。

「ねえ緒方くん、政治の問題って子ども達にどう伝えるべきだと思う? 中立でなきゃいけないとは思うけど。」
「何か質問受けた?」
「今の所は特にないけど、夏休み中は戦争関連の報道も増えるから中三とは話す機会が有ってもおかしくないでしょ。」
「そうだね…、自衛隊とか日米安保の問題なんか分かり易いんじゃないかな。」
「え~、難しいでしょ。」
「その難しさを分かりやすく説明出来ると思うんだ。」
「私もいまいち理解し切れていないけど…。」
「憲法九条では、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない、と有るけど、自衛隊が戦力じゃないなんて誰も思ってないよね。」
「戦争が終わった時には日本に戦力を持たせてはいけないと考えたのでしょうね、でも朝鮮戦争が起きてしまった。」
「そして日米安保条約が締結される訳だけど、中学生にはこんな流れをもう少し詳しく説明した後で、一つの質問をすれば良いと思う。」
「どんな?」
「もし日本が全く戦力を持ってなくて、米軍が守ってくれる保障がなかったとしたらどうだったか。」
「う~ん、難しいわね。」
「いきなり日本を攻撃したら世界の中で孤立も有ると考えて、どの国も日本に攻めて来なかったのか、それとも反撃の心配がないから気軽に攻め込んで来て占領してたのか。」
「そんなの分からないわ。」
「うん、それが答えさ、今、安全保障関連で議論されているのは、日本が武器を持ってなくても他国から攻められる事はない、もしくは攻められて日本が植民地になっても良いと考えてる人と、自衛隊や米軍が抑止力となってるから今まで攻め込まれてなかったと考えてる人とが、実際の所は分からない他国の事情、つまり異なる前提に基づいて主張し合ってるから簡単に結論が出せないという事じゃないかな。」
「そうか…。」
「これが政治の難しさ、全国民が心の底から納得出来ることなんて簡単じゃないから、色々なルールが有るけど、憲法九条と自衛隊の矛盾だって簡単に解決出来ない仕組みになってる…、寺田さん、これ以上踏み込んだ話になって行くと特定の政党をどうこうとなってしまうけど、ここまでくらいなら、政治の難しさを簡単に説明する一例にはなるんじゃないかな、実際にはもっと色々有る訳だけど。」
「そうね…、この話は、調査に係わってるメンバーで共有する必要が有ると思うわね、それと…。」
「? それと?」
「始めはなんか成り行きだったけど…、私…、のこと…、寺田さんじゃなく、美優って…、呼んでくれると嬉しいけど…。」
「ああ、じゃあ俺の事は大輝で良いよ。」
「うん…。」
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