桜さんと忍さんは私の部屋で過ごす事が多くなった。
大学のオフィスは五時過ぎに締め、三人で夕食を取り、そのまま部屋で仕事や雑談というパターンが増えている。
二人は隣の部屋で泊まる事も。

「遥香さま、毎晩ここに泊まりたいです~。」
「そうね、良いわよ、忍、今の部屋を引き払って越してらっしゃい。」
「私も良いですか?」
「うん、一部屋ずつ使ってね、メイド長に手配させるわ。」
「有難う御座います~。」
「私がいない時も普通にここで暮らしてね、庭が一般開放されても生活に支障はない筈よ。
原則、掃除のメイド以外は入れて欲しくないかな。」
「自分達で掃除しますから、私達以外は入れません。」
「細かい事はメイド長と相談してね。」
「はい。」
「遥香さま、年末年始の予定は決まりましたか?」
「まだ返事はしてないけど、高校生会議のクリスマスイベントはここの第一支部、新年のイベントは実家の第十七支部にしようと思うの、二人の予定は?」
「では、クリスマスイベントに参加して、遥香さまが実家へ戻られるタイミングで私も実家へ帰ります。」
「私も同様に、でも静香と会う約束をしていますので、新年のイベントも遥香さまとご一緒させて下さい。」
「あっ、桜、いつの間に…。」
「忍も予定が空いてたら大丈夫よ。」
「宿泊とか大丈夫なの?」
「静香が手配してくれるって、最悪の場合は清音副社長に泣きついて、遥香さまを囲む女子会を開催だそうよ。」
「う~ん、静香も逞しくなったな~。」
「本人は早く遥香さまに会いたいって。」
「そうね、うちなら大丈夫、連絡しておくから実家に泊まってね、静香も呼ばなきゃ。
でも二人とも私にくっついてばかりでは彼氏出来ないわよ。」
「ご心配なく、今は遥香さま一筋、大学を卒業してから合コン企画に参加して…、遥香さまの側近というだけで男どもが寄って来るでしょう。」
「確かに遥香さまの事はよく聞かれるわね、私は会社の先輩に期待してるのだけど、立場上こっちが上ってどうよ?」
「それぐらい乗り越えてくれなきゃ、私の部下は全員年上なのよ、姫になってから告白されなくなって楽になったけど、ハードルの高さを半端なく上げてしまったわ。」
「勿論です、生半可な男では遥香さまとつり合いが取れません。」
「岩崎社長の御子息は如何ですか?」
「お父さまは、そこまでの勇者ではないと話して見えた…。」
「まあ、何時か王子様が現れますよ。」