「ねえ、大学進学コースはどうだったの?」
「しっかりした目標が有って真面目に学習してる実績が有れば色々な形で支援して下さるそうよ。
進学希望でも会社体験させて頂けるから、大学卒業後のビジョンも描けるの。」
「茜は真面目だからな。」
「でも会社体験や研修の機会が多いと会社側にとって負担にならないのかしら?」
「詳しく聞いてないのね。」
「遥香さままはご存知なのですか?」
「会社側にとってもメリットがあるの。
高校生の内に研修を受けた人の多くは岩崎関連に就職するでしょ、だから入社後の研修が楽。
研修を受けた人の中には即戦力となって会社に貢献してくれた人も少なからずいたのよ。
研修をまともに受けないで入社した人の中には自分の想像と違ってたと、すぐ辞めたくなる人も、そのフォローに時間を掛ける事を考えたら、メリットは大きいでしょ。
でもそれだけではなくてね、社内の約束事を高校生に紹介する事で社員達が約束事を確認する機会にもなるの。
大切なルールでも時々確認しないといい加減になってしまうのも有るのよ。
それに対して上司が気にかけているより、研修生に教える事で確認出来た方が良いと思わない?
その他に、作業の見直しも、研修中の質問から作業手順を改善した事も有ったそうなの。
仕事にメリハリがつくという一面も有るのよ、普段は先輩に面倒みて貰う立場の若手でも後輩の面倒をみる立場になる訳でしょ。」
「仕事の邪魔になるかと思ってたけど、そうでもないのね。」
「仕事の邪魔にならない様に、岩崎高校生会議主催の事前研修会も有るしね。」
「研修プログラムは随時紹介だけど、内容によってはアルバイトとして給料を頂ける事も、学校側には会社側が話は通してくれるから安心、なんて話、進学組は聞いてないでしょ?」
「うん、聞いてなかった、でも学習に支障がなければ許して貰えそうね。
あっ、就職組は学習面に関して、何か言われたの?」
「就職してからでも色々な選択肢が有る、自分の出来る範囲内で良いから真面目に学習にも取り組んで欲しいって。」
「自分の出来る範囲内って所が良いわね。」
「正直言って私の出来る範囲なんて…、就職試験大丈夫かなぁ。」
「大丈夫よ、適材適所なんだから、順子に出来る仕事が無かったら作ってでも迎え入れる、それが岩崎王国の岩崎高校生会議に対する方針なのだからね。」
「うん、私、遥香さまのお世話係とかになりたいな。」
「ふふ、その頃にはお姫様卒業じゃないのかしら、私。」
「だめですよ、ずっと私達のお姫さまで居て下さらなければ、土曜日の会議でも色々出てましたからね、大体姫様は卒業するものでは有りません。」
「え~、じゃあ私は何時までお姫さまごっこを続けるの?」
「ごっこでは有りません、遥香さまは正真正銘、この地の姫ですから。」