ゲームを開催する事には大きな意図が有った。

「四キロ四人のリレーは波乱が起きそうね。」
「その辺りが見てる人を楽しませてくれるだろうし、本来の目的である競争心喚起に繋がるだろう。」
「大人達の話を聞いてると、国民の子ども達は大人し過ぎるって、優しくて仲が良くて良いと思うけど、これからこの大地を踏みしめて生きて行くには頼りないってさ。」
「仲良しに関しては僕らが頑張った成果だと思ってたけど、上を目指してくれないと科学を発展させる可能性を遅らせると指摘されてはね、僕らも子どもだったという事かな…。」
「競争する心を持ってもらうきっかけとしての賞だけど、それが遊覧飛行ばかりでは弱くないかしら。」
「あれっ、賞は君達のサポートの方がメインで、遊覧飛行はおまけだと思うがな。」
「ロックおじさんも似た様な話してたけど良く分からないわ、父さんもそう思うの?」
「国民の城の子に対する感情は調査してないのか?」
「う~ん、父さんやっておくべきなのね…。」
「ああ、望もそういった感情を知っておいた方が良い時期だと思う。」

国民感情を調べた望は、一週間後、尊と。

「尊、今回の調査だけど…、国民の中に微妙な感情というか、キングに対してなら尊敬という感情を示す人が多いでしょ、でも私達に対しては…。」
「なんだ、望、はっきりしないな。」
「国民の部屋には私達の写真が、結構あちらこちらに貼って有ったの、そして女の子同士の会話から、尊さま派と翔さま派の存在を知ったわ。」
「はは…、そうなのか、男の子達は?」
「香と巴が人気みたい…、私や愛もだけど…。」
「望は香や巴の人気に驚いたのかい。」
「そうかも…、嫉妬って気持ちなのかしら、何か嫌だな私…。」
「香達には特別な能力が有るからな、望がそう感じたのなら僕らは思ってたより人間なのかもしれないね。」
「そうなのかな…でもそれより尊に憧れてる人の多さが嫌だわ。」
「そう言われても…。」
「私は尊さま派だからね。」
「有難う、嬉しいよ、僕は望の事大好きだからね。」
「あっ、うっ、うん。」

城の子達が恋愛に関して疎かったのは身近に先輩がいなかった為だと思う。
そんな状況でも十七歳にもなれば自然な恋心が芽生えて当たり前だ。
ある日緊張した面持ちで尊と望が私の元へ来た。
緊張している尊を見るのは初めてだ。

「父さん、相談が有るけのですが良いですか?」
「どうした?」
「えっと、父さんは母さんの事が好きだったから結婚したのですよね。」
「ああ、今でも大好きだ。」
「僕…、僕と望が結婚するって、ど、どうでしょう?」
「良いと思うな、お互い生まれた時から一緒で相手の事を良く理解しているだろう。
尊がどうして望を選び、望が尊のどこに惹かれたのかも分かるっているよ。」
「でも、結婚ってどうしたら良いか分からなくて…。」
「そうだった、すまない私がうっかりしてた、城の大人達を集めて相談しておく。
お前たちは今から付き合ってるいう状態になる、そうだな休みには二人だけで遊びに出かけたりしても良いな。
尊は多くの女の子に人気が有るが、他の女の子と親密になりすぎると望が傷つくと覚えておきなさい。
後の事は近い内に説明させて貰う、しばらくは秘密にしておいてくれるか。」
「はい、分かりました。」

会議の前に、十七歳という年齢をどう考えるのか、マリアに相談したのは無意味だった、子を産めるだけに成長しているとしか応えてくれなかったからだ。