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91-都市 [キング-10]

子ども達はマリアからも学び続けている。
難し過ぎて我々には理解できないレベルだが。
翔が十二歳になる頃。

「望、今はマリアさまからどんな事を学んでいるんだ?」
「今日は都市設計についての宿題を貰ったわ、ロックおじさん、昔の都市計画はどうだったの?」
「そうだな、きちんと計画的に整備された小規模な町もあったが、無秩序に人が増えたからそれに合わせて規模を拡大という例も多かった、壊しては作ってという感じだが、土地所有の問題や予算の問題もあってな、道幅を広げるだけに三十年掛かってた例も有ったな。
ここではマリアさまの土地をお借りしているという考えが定着しているが、昔は自分の土地だと所有権を主張していた事は話したろ、おかげでかなり効率の悪い事をしていた訳だよ。
都市の機能だって、人を分散させればもっと快適に出来たと思うが、経済的効率を優先させたから混雑を生み出していたな。」
「何百万人が住んでる都市なんて話、実感が涌かないのよね。」
「なあ、愛、マリアさまはどうして都市設計についての宿題を出したと思う。」
「もちろん、都市を作るからでしょ?」
「ここにか?」
「まさか、違う場所でしょ。」
「それは、マリアさまから言われたのか?」
「言われなくても推測出来るわ。」
「それは何となく分かっている、ただ、それが何時どんな形になるのか読めなくて気になっているのだ。」
「具体的には僕らも聞かされていません、ただ、最近僕らが学んでいる事は荒地の開発をする時に必要な知識です。」
「なるほど、都市計画は初めに大きくなった時のビジョンを持ってないと後々効率が悪くなるからな、だが産業構造の変化を考慮しないと計画は立てにくい、その辺りも考えているのか、尊。」
「食料の確保が最優先ですが、科学を発展させます。」
「それは一般の国民の話か?」
「はい、マリアさまのテクノロジーは僕らしか扱えませんが、国民の皆さんがより上を目指す事は大切な事、その手助けをします。」
「そうか、人類は類として進化してきたが、私達の過去の時代はその限界に近付いていたのかもしれない、だが、貧富の差による不幸のない世界で、お前たちの手助けが有れば、もう一度人類は類として進化するチャンスを得る事になるのかもしれないな。」
「先の事は不透明ですが、人間同士が殺し合う様な世界にはしたくありません。」
「人類の歴史は殺し合いの歴史だったからな、おっと宿題を進めるか…。」

新たな都市、いや始めの内は村だろう、しかし将来都市にする事を前提として作り始めるという事は城の大人達を興奮させた。
新たな大地は決して快適ではないかもしれない、だが我々は開拓者となるのだ。
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